乗っ取りなんて：４４ ページ44
翌朝、今剣が修行に旅立つのを岩融、沫雪様と共に見送った。「いってらっしゃい」の中にこめたさようならに誰も気づいていないだろう。
昨夜は三条派とのトランプを楽しみ、夜ご飯の支度を手伝った。そして今日は朝から夕まで政府の元で手続きをし、深夜にはここを去る。
身支度は深夜に行うつもり。気づかれたくないからね。
岩融 「さて、俺は内番に行くとするか」
沫雪 「じゃあ俺は部屋に戻ってるかな」
A 「あ、沫雪様。これから見習い会議に行かなきゃならないので、この本丸のこと色々聞いてもいいですかね？」
沫雪 「いいよ。俺の部屋でいい？」
A 「もちろんです」
話ができるなら別にどこでもいい。
幸いなことに、廊下には誰もいなかったので気づかれることなく沫雪様の部屋に入れた。
沫雪様とは向かい合って座る。それと同時に防音結界をはる。
沫雪 「見習い会議なんてあるの？ 大変だねぇ」
A 「あ、いや、それ嘘ですから」
沫雪 「えっ、嘘なの！？ そんな面倒そうなものに出席するなんてAさんって意外と真面目なんだって見直したのに！」
A 「ボクが会議なんて出席するわけないじゃないですか〜」
ヘラヘラといつものような笑みを浮かべた後、ボクは少しだけうつむいた。
大丈夫、沫雪様のことは信頼してる。きっとボクが今日出ていくことを周りにバラしたりしないだろう。
沫雪 「でも、それが嘘ならこれは何の話なの？」
A 「今日、皆さんが寝静まる頃にこの本丸を去らせていただきます」
沫雪 「……え？」
A 「自分の本丸かもしれない本丸が見つかりました。ですので明日、そちらへと派遣されることになりました」
沫雪 「……そ、か……。行っちゃうのか」
A 「はい。皆さんには何も告げないつもりでいますので、沫雪様もご協力のほどお願いいたします」
沫雪 「ん、わかった。……寂しくなっちゃうね」
沫雪様の声が震えているような気がして顔を上げると、沫雪様の目には涙が浮かんでいた。今にも零れ落ちそうだ。
たった一週間やそこらの付き合いなのに……。
A 「泣かないでくださいよ〜。本当にお優しい方ですねぇ」
沫雪 「なっ、泣いて、ないし！」
A 「はいはい。これ差し上げますから」
ハンカチを差し出すと、本格的に泣かれた。
このハンカチを見てボクを思い出してくれればいいな。なんてね。
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らんじぇ(プロフ) - マリンさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！ホントですかっ！？そのように言っていただけて嬉しい限りです♪続編希望も感謝です〜！ (2016年11月6日 21時) (
レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - 希依さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！労いのお言葉も心に沁みます……(*^_^*)続編希望もうれしいです！ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - ☆☆さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！続編希望感謝です〜♪♪ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - 黒猫さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！続編キボンヌ、嬉しいです〜！！ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - あまぽーさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました！なんとかここまで書ききれました……(^^ゞ (2016年11月6日 21時) (レス) id: b92fd18dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らんじぇ
| 作成日時：2016年1月5日 21時
