兄妹ごっこ(赤) (ページ6)

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思い出のページ6

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お兄ちゃんが初めて料理を作ってくれたのは、私が小学3年生の時。

私が成長するにつれて共働きで忙しかった両親の仕事はさらに忙しくなった。

それは渋谷家も同じで、私たちはあらかじめ用意されている夕食をよく一緒に食べるようになった。

いくら温め直してもどこか冷たいご飯。

お母さんのご飯が食べたいと、一度だけお兄ちゃんの前で言ってしまったことがあった。

「俺が作ったるから、そない悲しそうな顔すんなや。」

家庭科の授業が大嫌いで、とても器用とは思えないお兄ちゃんが。

私のために料理を作ってくれる。

嬉しくないわけがない。

「何が食べたいん？なんでもええで。なんでも作ったるから、言うてみ？」

２つしか変わらないのにお兄ちゃんがとても大きく思えた。

私がお願いしたのは大好きなオムライス。

ふんわり卵が優しい、オムライス。

「ふわっふわの作ったるわ。」

初めてのオムライスは、べちゃべちゃのケチャップライスの上に少し焦げたスクランブルエッグがのってた。

「次は絶対美味いの作ったるから。」

いつもは自信があるお兄ちゃんがしゅんとしてそんなことを言うから思わず笑ってしまった。

「お兄ちゃんらしくないよ～？それに、オムライスとってもおいしい！お母さんのと同じくらい！」

だって、お兄ちゃんが作ってくれたから。

温かいほっこりする味がした。

「ほんまか！やったらおばさんのオムライスを超えるくらい美味いの作るんが目標やなっ」

手を傷だらけにして、汗もかいて、ろくに握ったことのない包丁を慣れない手つきで握るお兄ちゃんは、誰よりも、かっこよかった。

おまけにとびっきりの笑顔でそんなことを言われたら、好きになっちゃうよね。

大好きなお兄ちゃんのオムライスは

私の初恋の思い出。

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