リンゴ ページ1
＊三月side＊
昼ご飯の後片付けをしながらふと窓の外をみる
昨夜積もった雪がまだ残っていて、空もどんよりと雲に覆われている
「また、降ってきそうだな…」
大和「えぇ。またかよ…」
さみぃさみぃと言いながらヤマさんはのそのそと臨時で設置されたコタツに潜り込む
おっさんくさ…と言えば聞こえていたのか、なんだよこの万年七五三が！と言い返された
かなりムカついたが、机の上に大量に残っている皿を洗うのを優先させた。
それらを丁寧に重ねてシンクまで運ぶ
すると、キッチンの片隅に誰かの差し入れだろうか、バスケットに入った2、3個の真っ赤なリンゴが目に入った
「もうそんな季節か…久しぶりにアップルパイでも焼こうかな…」
そういえば、昔からこの時期は良くアップルパイ食べてたな〜
自分でも美味しく焼けるようにずいぶん練習したし
自分で作ったアップルパイをいつもあの子と雪の積もった公園で一緒に食べてたっけ…
元気にしてっかな〜
ファーのついた真っ白なポンチョ、
その下には真っ白なセーター
真っ白なジーンズを履いていて
ボンボンのついた真っ白なブーツ
真っ白なニット帽に、真っ白な肌
その中で際立つ墨のように黒い髪と大きな黒い瞳、真っ赤な小さい唇
その少女がすごく綺麗なことは幼いころの自分にもはっきり分かった
正にお姫様のようだ、と＿
彼女が突然消えてしまって10年以上経つ今でもまた会いたいと思う
そのくらい彼女と過ごした時間は濃く、そして短かった
大和「おーい、ミツ。まだ食器残ってっぞ」
なにぼんやりしてんだ、と言ってヤマさんが残りの食器の山を持ってキッチンに入ってくる
「あぁ…わりぃ。ありがとな！」
慌ててヤマさんから皿を受け取り、シンクに置く
大和「おう。あんがと」
洗剤とスポンジを手に取り洗い始める
「なぁ、おやつにアップルパイ作ろうと思うんだけど食うか？」
大和「おぉ！ミツのアップルパイかー…あれ、本当にうまいんだよな〜」
大和「楽しみにしてる。」
＿『楽しみにしてる。明日も』
ガシャン！
その一言があの子との最後の言葉に重なって皿を落としてしまう
心配するヤマさんをなんでも無いと誤魔化し再び皿洗いを再開する
窓の外では、また雪が降ってきた
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kurona(プロフ) - 面白いですね！これからも見させていただきますo(^-^)o更新頑張ってください！ (2016年8月20日 23時) (
レス) id: 4b8eae47bc (このIDを非表示/違反報告)
楠 心音(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます！少しずつですが更新頑張ります(・ω・)ノ (2016年8月20日 23時) (レス) id: f5d2a5cd06 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続きが気になります！！更新待っているので、頑張ってください！ (2016年8月17日 2時) (レス) id: 703e525001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楠 心音 | 作成日時：2016年8月12日 11時
