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「ゆたちゃん、良かったねえ」
戦隊モノのお面に、おっきなりんご飴、色とりどりのスーパーボールを手にしたゆたかくんはご満悦。
屋台を目一杯楽しんだ私たちは、大通りから外れた静かな道を歩く。
(私は伊吹さんと綿菓子を半分こしながら祭りを楽しんだ。)
「もうすぐ花火上がる時間だな。良いところがあるから移動するか」
「えっ、シマ!このおまつりきたことあるの!」
花火と聞いてテンションが上がったゆたかくんは、ヤッター!と叫びながら志摩さんの周りをぴょんぴょん飛び跳ねる。
可愛いなあ。
隊長がデレデレなのも分かるわ。
「ほら行くぞ」
そう言って、小さなゆたかくんの手を握って歩き出した志摩さんの表情を見てどきっとした。
おぉ。
仕事ではこんなやっさしい顔、見たことない。
いや、私を褒めてくれる時とか、励ましてくれる時とか、志摩さんはとても穏やかな顔をする。
「よくやった」「頑張れ」的な、認めてくれているような心配してくれているような、そんな感じ。
でも、そうじゃなくて、なんていうんだろう。
無条件な愛……っていうのか……?
あんな風に、志摩さんも“想う”顔をするんだ。
意外過ぎる一面に、私はよっぽど間抜けなツラをしていたらしい。
伊吹さんの「あ、Aちゃんもしかして今志摩にキュン!ってしたぁ?」という茶化しで我に返った。
「は!なぁに言ってるんですか!してませんっ」
「ん〜私は良いと思うけどナァ、志摩さん」
「なっ……?!ハムちゃんまで?!
し、志摩さんってこんな顔するんだなあって思っただけですから!」
「あ〜Aちゃんその慌て方、ず・ぼ・し?」
「伊吹さあん?!ち・が・い・ま・すぅ!」
私の慌てっぷりに、えぇー?と顔を合わせてにやりと笑う伊吹さんとハムちゃん。
いやいやいや、分かってる!私今弄ばれてる!
だから違うんですって!意外だったの!
ああ!もうっ。
……これ以上騒いでもどんどんハムちゃんと伊吹さんの口角は上がっていくばっかりだ。
鼻の下を伸ばした伊吹さんが「志摩ちゃぁん〜」と猫なで声を出して、少し先を行くゆたか&志摩さんの傍に駆け寄っていく。
私は諦めて、その背中を静かに見放した。
も〜好きにしてくれ……。
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ココロ(プロフ) - みずえさん» コメントありがとうございます!!2で彼女たちの過去が明らかになっていくので楽しみにしていただけると嬉しいです!!よろしくお願いしますo(^-^)o (2020年9月5日 21時) (レス) id: 34372602a7 (このIDを非表示/違反報告)
みずえ - いつも楽しく読ませてもらっています。夢主と志摩さんの関わりが好きです!2も楽しみにしてます! (2020年9月5日 17時) (レス) id: 8f8fdf8959 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ(プロフ) - ぽんきちさん» コメントありがとうございます(*^o^*)楽しみと言っていただけて嬉しい限りです!!少しずつ明かされていくと思うので、不定期だとは思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*^o^*) (2020年8月20日 0時) (レス) id: 34372602a7 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんきち(プロフ) - お話の序盤であった志摩との過去の関係や、夢主の推薦研修の件など色々と明らかになっていくのが楽しみです!!これからも更新楽しみにしています! (2020年8月19日 22時) (レス) id: 60a8b99502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kokoro | 作成日時:2020年8月11日 17時