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kikyo
「私の所属署からここに出勤する途中、乗るバス間違えちゃったみたいで迷っちゃって……、
あの、言い訳みたいに聞こえるかもしれないんですけど携帯の充電できてなくて、道も調べられなくて」
「あー迷ってるときにもしかして俺らに1回遭遇した感じぃ?」
「そ、そうですね……、あの時すごく焦ってて、逃げちゃってすみません」
「伊吹?余計な口挟まない。九重さん、続けて」
さっきからそわそわと落ち着きがない伊吹を睨んで、話の続きを促す。
「そのあと気分が悪くなってしまったから、ちょっと休憩してたんです。
そしたらホシに声掛けられて、なんだか運良く、私が人質にとられちゃったって感じですかね……」
苦笑いしながら九重さんは目を逸らす。
___運良く、ね。
彼女は、運が良かったと言い切れるだけの自信を持ち合わせている。
最大の武器であるピカイチの身体能力、心の奥底に潜む度胸。
新人らしいたどたどしさはちゃんとあるのに、どこか肝が据わっている。
なかなか面白い子が来たじゃない。
「そう。とにかく無事でよかった」
怒られると思って顔が固まっている九重さん。竦んだ肩をポンポンと叩く。
彼女はすみませんでした、と頭を下げると同時に、安堵の息を小さくこぼした。
「ちょうどいいわ、志摩と伊吹も聞いて」
場の仕切り直しとして、少し声のトーンを落とすと3人の背筋がすっと伸びる。
「今日から機捜で研修になる、九重Aさん。
本当は彼女含めて研修が3人いて、1機捜から3機捜に振り分けてるはずだったんだけど、彼女だけ手違いで手続き出来てなかったのよね……」
こればっかりは私のミスというか、なんというか、本当に申し訳ないんだけど。
この説明を聞く彼女と伊吹の頭上にはハテナがたくさん浮かんでいる。
どうやら志摩はなんとなくピンと来ているようで、顔を少ししかめた。
そんな3人が並んでいるのが少し面白くて、不意にちょっとだけ声を出して笑ってしまう。
何が可笑しかったのか理解出来ていないらしい九重さんは、困惑気味に首を傾げた。
「……ええと、じゃあ私は、どこに」
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ココロ(プロフ) - みずえさん» コメントありがとうございます!!2で彼女たちの過去が明らかになっていくので楽しみにしていただけると嬉しいです!!よろしくお願いしますo(^-^)o (2020年9月5日 21時) (レス) id: 34372602a7 (このIDを非表示/違反報告)
みずえ - いつも楽しく読ませてもらっています。夢主と志摩さんの関わりが好きです!2も楽しみにしてます! (2020年9月5日 17時) (レス) id: 8f8fdf8959 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ(プロフ) - ぽんきちさん» コメントありがとうございます(*^o^*)楽しみと言っていただけて嬉しい限りです!!少しずつ明かされていくと思うので、不定期だとは思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*^o^*) (2020年8月20日 0時) (レス) id: 34372602a7 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんきち(プロフ) - お話の序盤であった志摩との過去の関係や、夢主の推薦研修の件など色々と明らかになっていくのが楽しみです!!これからも更新楽しみにしています! (2020年8月19日 22時) (レス) id: 60a8b99502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kokoro | 作成日時:2020年8月11日 17時