そばにいること ２ 【code blue】

#68 ページ24

(白石side)






「なにあれ、絶対あいつら付き合ってんじゃん。

なんなの藍沢の奴。嘘つきやがって」

「しっ、緋山先生！声が大きい」



慌てて文句を言う口をふさいだ。バレたら折角いい雰囲気が台無しだ。

訪れた病室に足を踏み入れることなく、2人を外から見守っている最中なわけで。



＿＿＿だってあんな風に2人で話しているところ見たら邪魔はできないでしょ？



「そばにいてくれるだけで充分なんだ」って笑うA先生が見れて一安心。

もう検査結果も聞く必要ないわね。



帰ろ、と若干怒り気味の緋山先生の手を引っ張って、病室を背にして進む。


必要最低限の明かり以外が消えているこの時間の廊下に人気はない。

私と緋山先生の足音だけが静かに響く。



「あーあ、幸せそう」

「そうだねえ。藍沢先生のあんな一面が見れるなんてびっくり」

「いやー、もうまさかのまさかよ。あんっだけ恋愛事情には疎いのに！」

「確かに」


他愛もない会話が途切れたあと、ふと足を止めた緋山先生が突然頭を抱えて座り込んだ。



「＿＿＿＿＿冴島も、幸せにしてあげたかった、な……」




必死に手を伸ばしたとしても、その伸ばした手からするりと抜けていく。

命は、儚い。





「緋山先生」

「……うん、帰ろ」




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誰かにとって心の底から良かったといえるような日は、

誰かにとって後悔が絶えない日になるかもしれない。



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助けられる命と助けられない命。

それは決まっているのだろうか。



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どんなに医者が尽くしても、

どれだけの人が願おうと、




運命は変えられないのだろうか＿＿＿＿＿？






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