そばにいること ２ 【code blue】

#59 (It's same as one before.) ページ15

(藍沢side)







「治療をしてほしい。Aに生きてほしいんだ」


「耕作？だから治療は……」



「ずっとそばにいてほしい。1人の大切な人間として。


Aが生きようとすることで俺は絶対に夢を諦めたりなんかしない。

苦しい思いや辛いことは2人で分け合ったらいい。


今度は俺がお前を救いたい」


「……耕作」




「俺はAと一緒に生きていきたいんだ。

生きて、ただそばにいてほしい」



そっと柔らかな彼女の手を握る。

表情をこわばらせていたAの大きな目から、静かに一粒の雫が落ちた。


しばらくしてから彼女はゆっくりと口を開く。



「そんなこと言ったって……私はもう大切な人の大切なものを奪いたくない。

自分のせいで……耕作に悲しい思いをしてほしくない」



「大丈夫。俺はAのせいで悲しくなったりなんかしない。苦しんだりしない。

最後まで諦めないで。一緒に、生きよう」



「……我儘言っていいの？一緒に生きたい、って……言っていいの」

「当たり前だろ。一緒に頑張ろう」



そういうとAは次々と涙を零した。静かに、泣いていた。



ゆっくりと彼女を抱きしめる。伝わってくる心地よい体温。生きている証。

小さな背中をそっとなでる。



「……ごめん、ごめん。今週は泣いてばっかりだね。

いっぱい迷惑かけると思う。たくさん悩ませちゃうと思う」


「いいんだ、それで。誰も1人では生きていけない。

お前はなんでも1人で解決させようとしすぎだ。もっと俺を頼って」



「……ありがとう、耕作。

医者でいたいっていうのは勿論本音だったんだよ。

でも本当は治療にかけてみたいと心のどこかでは思ってた。……私って負けず嫌いだからさ。

それに怖かった。死ぬってことが。それから漠然と逃げていたのかもね。


だけどね、それ以上に、何よりも怖かったのは誰かを傷つけてしまうこと。

違うって言ってくれて本当にありがとう。


ちゃんと頑張るから。＿＿＿＿寛解目指すから」





そう笑ったAを、俺はもう一度強く抱きしめた。






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誰かと共に生きること。

どんなに短くても、どんなに一瞬でも、仲間と苦しみや喜びを分かち合える時間はかけがえのないものだ。



＿＿＿＿隣にいる大切な人と日々を重ねること。


当たり前になりがちな毎日は、奇跡の連続だ。



それに気づけることで、大切な何かを守れるのかもしれない。






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