#56 ページ12
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(藍沢side)
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「うーん、最近天気がいまいちだなぁ。
あいつ、晴れ女だから元気でいてもらわなくっちゃ困るんだけどな」
屋上につくと、橘先生は大きく伸びをしながら柵に寄り掛かった。
「……彼女の父親と俺は同期なんだ。Aのことは小さい頃からよく知っててなぁ。
昔から周りをよく見てて、賢くて。おまけに愛想がいい。典型的な“良い子”って感じだったよ」
遠くを見つめながら懐かしそうに笑う。
ただ、しばらくすると橘先生の顔からすっと笑みが消えた。
「……知ってると思うが、あいつの母親は中学校の頃に亡くなってるんだよな。
しかし父親の仕事は救命医。
慢性的な人手不足で、なかなか家に帰ることもできない。まともに食事を一緒に取ることもできない。
頼れる人がずっとそばにいなくて、本当に辛かったと思う。
それでもあいつは文句ひとつ言わずしっかりと自分で生きていた。
よく病院に顔を出しに来ていたが、お父さん想いだったし、やつもAのことを可愛がってた」
母親が亡くなったときのことは大学生の頃聞いた。
その時、お父さんはすごかったんだよね〜って自慢気に話してくれたのも覚えている。
今と変わらない、あの屈託のない笑顔で。
少なからず俺も同じような境遇だったから彼女の苦労には共感できた。だからこそお互いの弱い部分を見せながら、相談しあえたんだと思う。
橘先生は俺を振り返り、話を続けた。
「父親も亡くなった話は知ってるか？」
「……高校2年生の頃にがんで亡くなったと聞きました」
「そうだ、膵臓がんだった。
見つかったときにはもう末期に近かったが、Aの強い希望で僅かな可能性にかけて治療を開始した。
＿＿＿父親の反対を押し切ってな」
返す言葉が見つからず黙り込んでしまう。
少しずつ明かされる彼女の本当の過去に触れてゆくにつれ、心臓の鼓動が速くなる。
彼女が背負っているものは思った以上に大きかった。
「あいつ、ほぼ付きっきりで看病してたんだ。
それに加えて生きていくためにバイトを始めて、でも“医者になる”という夢を諦めたくもないから学校にも極力通ってて。
当然、体調を崩した。
治療を開始して2カ月。Aが倒れて意識を失っているとき、父親は急変して亡くなった」
橘先生はそこまで話すと、ゆっくりと息を吐いて目を伏せた。
時間が止まったように静まり返る。
＿＿＿＿ああ、現実はなんて残酷なんだろう。
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ココロ(プロフ) - あみさん» いいえ〜〜！こちらこそリクエストありがとうございました（＾Ｏ＾） (2018年9月22日 21時) (
レス) id: 34372602a7 (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - リクエスト書いていただけて感謝感謝です（ ; ; ）ありがとうございます！これからも応援してます！ (2018年9月22日 16時) (レス) id: d3315f5237 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ(プロフ) - ゆめさん» こちらこそいつもお読みいただき本当にありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです！！（＾Ｏ＾）完結まで精一杯頑張ります！！！！ (2018年9月17日 17時) (レス) id: 34372602a7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 更新ありがとうございます！学生さんとお見受け致しますが、きちんとした日本語そして文章力で大変読み易くて楽しませていただいております。お忙しいとは思いますが、完結まで心から応援させていただきます。頑張ってください！∩^ω^∩ (2018年9月17日 0時) (レス) id: edc643c87b (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 作品みてくれるの!?ありがとう！まじ感謝。 (2018年9月12日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kokoro | 作成日時：2018年9月11日 18時
