22 side一虎 ページ22
「おせぇな場地」
今日は場地が東卍を完全に抜ける日だ
アイツは東卍じゃなく俺を選んだ
だが、とっくに約束の時間はすぎてると言うのに場地が来る気配が一向にない…
まさか裏切ったのか？
胸が締め付けられるような痛みに襲われ、昔の記憶が蘇る
”…二度と面みせんな“
俺はその女の事が世界で1番大好きだった。
それなのにアイツは冷たい目をしながら易々と俺を突き放した
本当馬鹿だと思ったよ。本気でアイツの大切になれたのだと自惚れた自分も、安い言葉を信用した自分も…
誰かにとって俺はそれくらいの価値しかねぇのにさ
「悪ぃ。遅くなった」
「…場地」
「何しけた面してんだあ？今日はお前に土産…アイツどこ行った！？まさかこの距離で迷子か！」
あたりをキョロキョロと見渡す場地に釣られなんとなく俺も真似をすると入り口の方から女らしき事が聞こえた
「…キモい」
「あ？しらねぇよ!テメェみたいな奴が新入りな訳ねぇだろ！」
「なにやんの？」
まさか場地の土産ってあの女の子？なんかすげぇキレてるし…女の子にしては可愛げなさすぎじゃない？
「ねぇなに騒いでんの？女の子に向かってテメェはないよね」
見張りの男の後ろから少しだけ見えた彼女は大好きだったアイツと同じ髪の色をしていた
「ごめんね、うちの奴が」
いや、まさかな…アイツが俺の前に現れる事なんて2度と…
「一虎…なのか？」
無いと思っていた。なのに…アイツは昔と変わらない姿でそこに立っていたんだ
なんで…なんでお前が此処にいんだよ！
「久しぶりだね一虎、それとよろしく」
何もなかった様にアイツは俺に手を差し出す
2度と顔を見せるなと言った癖に…
ドラケンを選んだ癖に…
マイキーを選んだ癖に…
苦しい。誰か…助けてよ
「…一虎、お前がどう思うが私はお前の前から消えないから」
お前なんか大嫌いだ。
なのにどうして…
今、俺が1番に助けて欲しいと思い浮かべたのはお前なんだ？
お前は俺の事守ってなんかくれねぇのに
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作成日時：2022年3月2日 3時
