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「さっき言った通り俺はお前のせいだなんて思ってない。だから場地に謝る必要もないって思ってる」

違う。私が一虎にあんな事言わなきゃアイツは…

「でも、A。お前はそうでもしねぇと前に進んでくれないんでしょ?」

「…私は前になんて…進む気ない」

「じゃあ、どうしてすぐに学校辞めなかったんだよ。その気になればすぐにできた筈だろ?」

「ッそれは!」

「A、俺がお前とダチになったのはケンチンの姉だからじゃない。Aとダチになりたいと思ったからだ。考えるより先に体が動く様な馬鹿だけどそんな
奴だったからだ。でも今のお前はいつも考えてばっかで…悩んでばっかで…俺はお前のそんな姿みたくないよ」

少し前までの私はケンケンの為にならなんだってした。

マイマイの言う通り考えるより先に体が動いてしまった

そのせいでいつも後から泣き言を言うハメにもなった

そんな私を真一郎君はいつだって笑ってくれていた

「馬鹿なんだから、考えるなよ。Aが謝りたいなら謝りに行けばいい。…大丈夫、場地は迷惑だなんて思ったりしねぇよ」

「…マイマイ」

「俺は前に進んだ。その為に兄貴の店も売った。俺は俺の夢を叶えるって決めたんだ。だから、次はお前ら2人の番だよ」

ゆっくりでいい…今すぐにじゃなくていい…

前に進んで欲しい

今、1番辛い筈のマイマイは私にそう言った

「…分かった。私、場地にあってくるよ」

それなら私は彼の思いに応える義務があるのじゃないだろうか

「ウン、行ってきなよ。でもその前に…」

マイマイは先程の喧嘩によりボロボロになった自分の身体を見て私を睨みつけた

「俺の治療が先だけどね。A、ちゃんとおぶって帰ってくれるんだよな?」

「…え?はあ!?治療?それなら私も必要だけど!これ腕折れてると思うし!」

「は?大体先に殴ってきたのはAだろ!」

「いいえ!ケンケンを先に殴ったのはマイマイです」

「いや、それはちげぇし!ケンチンただバイクで事故っただけで、Aキレさせんのに丁度いいから利用しただけ!」

「なっ!騙したなクソガキども!」

マイマイはいつだって私を正しい方に導いてくれた

どっちが年上か分からないな

真一郎君が死んでから一度目の春

まだ自分の大切さに気づいていなかったあの頃の私が

一瞬だけ昔に戻れた気がした。

きっと今思えば

私はあの日からマイマイを好きになり始めていた

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作成日時:2022年3月2日 3時

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