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第57話 ページ11

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―――


「あまり余計なことをするな。」


そう言って宍色の髪をした男の子がやってきた。それを見た真菰は出していた手を引き、


「錆兎…」


と、口にした。


「私、もう鱗滝さんが
悲しそうにする姿は見たくないよ…」

「それはお前だけじゃない。」


気づくと二人の周りを囲むように
複数の子供達がいた。


「そうだよ。僕達だって同じ気持ちだよ。」


そう、現れた子供達も真菰、錆兎のように
あの鬼に殺された者だ。


「ねえ、誰か来るよ…?」


一人の女の子が指を指し言った。


「こんなところに人なんて…」


それに続いてみんなが指した方向を見る。

ここは滅多に人は来ないし、
来るとしても特定の人物だった。


光が竹によって遮られよく見えないがきっとあの人だろう。そう皆思っていた。


人影も迷うことなく
子供達のいる方向へと進んでいた。


「鱗滝…さん…」


近くに来てようやくはっきり見えた
心の底から大好きな人。

もちろん鱗滝には霊になった子供達が
見えるはずもなく横を通り過ぎて行った。

そして岩の前まで来ると岩に手を添え、


「また儂は…
大切な子を帰らぬ人にしてしまうのか…」


と、呟いた。

その言葉に子供達の
溜め込んでいた想いが吹き出した。


「ごめんなさい!!!僕達が弱かったから!!!」

「鱗滝さんは何も悪くない!!!!
だから…だから…!!!!」


触れられぬことも声が届かぬことも忘れて
皆、鱗滝に近づく。

そんな中錆兎だけは少し離れたところで、


「もう大丈夫だよ鱗滝さん。
あの二人ならきっと帰ってくる。
きっと、俺たちの想いを繋いでくれる。」


と、言ってお面の下で悲しそうに笑った。

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妖狐(プロフ) - 更新頑張ってください!このお話大好きです! (2020年8月22日 11時) (レス) id: 9d9b92a8ce (このIDを非表示/違反報告)
桜茅姫<ルチア> - いつも更新楽しみにしてます!すごく面白いので、頑張ってください!! (2020年4月4日 8時) (レス) id: d5d3062330 (このIDを非表示/違反報告)
恋姫ーここなー(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» 最近全然更新ができずすみません。これからもちょっとずつですが頑張りますのでよろしくお願いします!! (2019年10月13日 0時) (レス) id: bf3171afde (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - お話とっても素敵ですね!読んでいて心が揺さぶられました!季節もだいぶ寒くなってきたので、体調に気をつけて更新頑張ってください!応援しています! (2019年10月9日 17時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
恋姫ーここなー(プロフ) - ぶんどきさん» 善逸結構書くの大変なんですね…。書いてみてわかりました…。 (2019年9月23日 21時) (レス) id: bf3171afde (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:恋姫ーここなー | 作成日時:2019年9月8日 22時

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