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巨大美術館の隅っこ ページ3

島の中央にある本屋の、2、3倍に近い大きさの美術館には、この島でもかなり厳選された名画が飾ってある。絵画は専門外のブルックでも、聞いたことのある画家の絵もあった。

2日滞在するんだ、初日の最初は絵画を観ようと、ブルックは好奇心で1階へ進んだ。新しいインスピレーションを求めて。

「…期待の天才画家、A展」

ふと、目に入った文字をそのまま読み上げる。
…彼に目はないのだが。
そしてさらに下の詳細を心の中で読み上げたあと、彼は何の気なしに足を運んでみる。

その瞬間、彼の頭の中を想像が掻き立てた。
息を呑んだ彼の様子に、ウソップやフランキーも後から続いて、歓声をあげる。

「こりゃあすげえ…」
「大物になるだろうよ…」

ブルックはその一つ一つの絵を観て回るが、たったのひとつも音楽の創作意欲を湧きたてられなかった絵はない。
"クロエのレクイエム"なんかは、その筆頭とも言える。題名が題名な上、描かれている少年はヴァイオリンを持っているし、少女の周りにはピアノの楽譜が散らばっているのだから。


はた、とブルックがひとつの絵の前で疑問を感じる。題名は"ビンクスの酒"。
他でもない、ブルックのお気に入りの曲をモチーフとして描かれた絵なのは明らかだった。

別にその絵に不満があるわけじゃない。
逆だ。あまりにもその絵が自分にとってピッタリすぎるのだ。
ビンクスの酒は明るい曲だと言うのに、この絵はなんだか寂しさに溢れている。
そんな風にビンクスの酒を感じたのは何故だろう、自分のような境遇以外に…と考えて、彼はAに会いたくなった。

「ヨホホホ、最年少、王の認める画家、ですか」
「ここの王様は優しいらしい。会わせてくれるかもな」

ブルックの意思を汲み取ったフランキーが、そう返す。ついて行く気はないらしい。
ブルックは1階の一通りを見た後、2日目に本命を残し宮殿へと向かった。

宮殿の隅っこ→←芸術の島、アトルシア



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ロア - イイね!がんばれー!!!!!!こういうのめちゃくちゃ好きなんだよね〜 (2022年9月21日 20時) (レス) id: f71c6b27b8 (このIDを非表示/違反報告)
ロア - おもろ (2022年9月21日 18時) (レス) @page20 id: f71c6b27b8 (このIDを非表示/違反報告)
へーべー(プロフ) - ノルンさん» わ!ありがとうございます!書きたいとこ書いてしまった感があってクオリティが下がってくの申し訳ないです……! (2020年11月29日 1時) (レス) id: 01e6968e13 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 更新お疲れ様です!!!今回の話も面白かったです!ありがとうございます! (2020年11月29日 0時) (レス) id: a576ecff6a (このIDを非表示/違反報告)
へーべー(プロフ) - 柳さん» ありがとうございます! (2020年8月2日 16時) (レス) id: 01e6968e13 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:へーべー | 作成日時:2018年7月22日 23時

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