清き月の華〖ハートの女王〗 (ページ29)

今日:15 hit、昨日:1 hit、合計:160,730 hit

第29話リベンジ！『なんでもない日』！ページ29

私にとっては長い時間が経ったように思えたけれど、あれは一瞬の出来事だったようだ。

リドルさんは無事に目を覚まし、どこにも異常はなかった。

話の中で空気を壊す人がいたけど、とにかく、リドルさんも、皆が無事で良かった。

その出来事からしばらく経ち、リドルが学業に復帰した頃

ハーツラビュル寮ｰパーティー会場にて。

「はーあ。結局庭の片付けとか今回の準備とか、全部オレらがやらされたんだけど？」

「まあまあ。寮長の体調も何事もなく回復したわけだし」

「お庭にフォトジェニックな飾りつけもできたし。オレ的には大満足♪」

「うーっ！早く料理が食べたいんだゾ！」

「フッフフ、相変わらずね」

「オッケー♪ではさっそく……」

「ちょっと待って！」

まさかの声に皆の動きが止まる。

リドルの視線の先には白い薔薇……赤く塗られていない薔薇があった。

「げっ！塗り残し!?」

「あわわわ……エースちゃん、デュースちゃん、ちゃん塗ってって言ったじゃん～！」

「僕達のせいですか!?」

「リ、リドル。これは……」

「えっと…」

「どうかお目こぼしを！」

全員が冷や汗をかき、しばらく重い沈黙が流れる。

　
「……なんてね。もう薔薇の木の１本や２本で罰したりしないさ」

「ほ、ほんと!? リドルくん寛大！」

「みんなで塗れば早いだろうしね」

「って、塗るのは変わんねーのかよ」

「まあまあ。それでも本当に……うん。変わったな、リドル」

「もう１秒も我慢できねぇんだゾ！さっさと薔薇でもなんでも塗ってパーティーだ！」

「それじゃみんな、準備はいい？」

皆の返事が会場に響くと、皆思い思いに楽しみながら薔薇を塗っていく。
リドルさんの厳しい指摘をされることはあったが、全ての薔薇が綺麗に赤く塗られた。