清き月の華〖ハートの女王〗 (ページ24)

今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:160,727 hit

第24話アトラスページ24

その瞬間、今まで感じたことのない感覚に襲われた。

おそらくこれがオーバーブロットにより放出される負のエネルギー。

リドルさんの姿は変わり、その背後にはハートの女王に似た化身のようなものが現れる。

学園長が私達にオーバーブロットについて説明するが、グリムとデュースさんはまだ理解出来ていないようだ。

「あーもー！平たく言うと闇堕ちバーサーカー状態ってこと！」

「このまま魔力を放出し続ければリドル自身の命も危ない」

「命ぃぃぃ!!??」

話を聞いて、夢での言葉が過るが、本当に自分にそんな力があるのか。危険な状況だというよにその事を疑問に感じてしまう。

ユウさん達が動いているのに私はフリーズしたように身体が動かなかった。
あの状態のリドルさんは魔力が尽きる様子もなく、攻撃を連発し続けている。

「A！危ない！」

気づいた時には攻撃がすぐそこまで近づいていた。
咄嗟に腕で顔を守るようにするが、どう考えても攻撃を食らってしまう。

その時何かが私の横から現れ、ドサッと倒れる音が聞こえた。

「ルミネっ!?」

血が滲んでいるのを見て、ルミネが私を庇ったのだとすぐわかった。

(私のせいで……)

自分の愚かさを責め、マジカルペンに嵌められている魔法石を恨めしそうに見つめる。

あれだけの魔力と魔法の力があるというのにそれを今役立てていない。足手まといもいいところだ！

「A…」

その声にハッと顔を上げる。

彼女は傷を負いながらも戦おうとしているのだ。

「力は誰かを傷つけるかもしれない。だけど誰かを救うために振るうことができる。貴方にはリドルを救う力がある。…あなたにしか、出来ないことなの」

(私にしか出来ない……。そうか…そういうことだったんだ！)

ふと思い出す。

幼い頃よく見ていた夢を。

その中からリドルさんを救う鍵となる言葉を。

それを感じ取ってか、ルミネは言う。

「いきましょう。リドルを救いに」

「ええ！」

それに私は力強く頷いた。