清き月の華〖ハートの女王〗 (ページ23)

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第23話歪む心ページ23

その時、エース達の前に黄緑色の炎柱が立ち登る。
そして、炎の中から淡々とした声が響く。

「古の血族(エンペラー・ブラッド)〈滅びの絶槍〉！」

凄まじい一つの槍に似たものが薔薇の木全てを跡形もなく破壊する。
しかし、その破片は他の寮生やグリム達の方まで飛んでくる。それに悲鳴を上げるが、到達する前にそれらはトランプに変化した。

その現象を目の当たりにしたユウが驚いていると、風によって払うように炎柱は消え、Aの姿が露わになる。

　
「……あ、れ？生きてる？」

「あれは…A!?」

「あの一撃で薔薇の木を全て破壊したのか!?」

彼らが驚愕しているのをよそに、Aはリドルに向かって叫ぶ。

「リドルさん！もうやめてください！」

その時、グリムがあることに気づく。

「魔法封じの首輪が外れてるんだゾ！」

「言っただろう。俺の『ドゥードゥル・スート』は少しの間だけならどんな要素も上書きできる。
だから……"樹木の破片"と"リドルの魔法"を"俺の魔法"で上書きした！」

「うっそ……そんなのあり!? チートじゃん！」

トレイに言葉に確かめるようにリドルは魔法を発動させる。

「く……っ、首をはねろ！首をはねろったら！何でトランプしか出てこないんだよぉ！」

「リドル、もうやめろ。これ以上はお前が孤立していくだけだ！みんなの顔を見てみろ！」

寮生達の方を向けば、皆恐怖に満ちた顔をしていた。

「ほ、本気でやる気だったのかよ……」

「さすがにやり過ぎだろ…」

「バ、バケモノだ…」

しかし、リドルにはその言葉よりも。トレイに魔法を上書きされた事、Aによって魔法を迎え撃たれた事の方が大きかったようだ。

トレイはリドルを静めようと話し掛けるが……

「キミもボクが間違ってるって言いたいの？
ずっと厳しいルールを守って頑張ってきたのに！いっぱいいっぱい我慢したのに！
ボクは……ボクは……信じないぞ!!!!!」

「いけませんローズハートくん！それ以上魔法を使えば魔法石が『ブロット』に染まりきってしまう！」

誰もが彼を止めようとするが、どれもリドルには届かない。

「ボクは……ボクこそが!!! 絶対、絶対、正しいんだーーーー!!!!」

「リドルーー!!」