清き月の華〖ハートの女王〗 (ページ14)

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第14話特別な魔法ページ14

なんやかんやあって、ついにマロンタルトが完成！

そのタイミングでケイトさんが来て、写真を１枚撮った。
どうやらタイミングを見計らっていた様だが、完成したマロンタルトを皆で食べた。

「ンッ、やばっ」

「んま～い！」

「「美味しい！」」

「スゴイ、店に売ってるやつみたいだ」

「甘すぎず、それでいて濃厚なお味。お口の中が栗畑なんだゾ～！」

「それ、ほめてるのか？」

「そだ。ねーねー、トレイくん、〝アレ〟やってよ」

「〝アレ〟？…ああ、アレか」

ケイトさんがトレイさんに何かを言うと、突然トレイさんが私達に好きな食べ物について聞いてきた。

私達がそれに答えると

「それじゃあ、いくぞ。……『薔薇を塗ろう!(ドゥードゥル・スート)』」

マロンタルトが一瞬パアッと光る。

「マロンタルトをもう一口どうぞ」

言われるがまま私達はマロンタルトを口にする。

「ん？んんん？これは…マロンタルトなのにテェリーパイの味がする!」

ユウさんはマロンタルトを凝視していて、私も疑問に思って首を傾げる。

「ツナ缶の味だ！はぐはぐっ！おわっ、今度はチーズオムレツ！鶏肉のグリルに、はぐはぐっ、プリンの味なんだゾ！」

「面白いでしょ？コレ、女の子とお茶する時に鉄板でウケると思わない？」

「スゴイですね。味は変える魔法がトレイ先輩のユニーク魔法なんですか？」

「正確には『要素を上書きする魔法』だな。
味だけじゃなく、色や匂いなんかも上書きできる。
効力は短時間しか持たないからドゥードゥル(落書き)みたいなものだ。だから俺はこの魔法をドゥードゥル、落書きって呼んでる」

「上書き……その魔法はいろんな可能性を秘めていて、場合によっては人を守ることができる。使い道によっては凄い魔法になりますね！」

トレイさんは私の言葉に少し驚いていたけど、すぐに笑顔になる。

「そういうことはあまり言われたことがないから少し照れるな……ありがとう」

ケイトさんがからかっていたけど、トレイさんは嬉しいそうだ。

そのあとエースさんに明日の『なんでもない日』に一緒に来いと言われた。

ここまでやったんだから最後まで付き合えって。

それからマレウス様とガレンさんに差し上げたら、とても好評価でした。