第12話 不思議なお店 ページ12
「次に生クリームを……あっ！」
「どーしたんすか？」
少しマロンペーストを作り過ぎてしまい、生クリームが足りないらしい。
そこで調達も兼ねて、デュースさんとユウさん、そして私が買い出しに行った。
もちろん、グリムとルミネも連れて。
◇◇◇
購買部ｰMr.Sのミステリーショップ
「すいませーん。……って、スゴい店だな。
魔道具だらけのお店をしばらく眺めていると
「Hey！迷える小鬼ちゃん達、ご機嫌はいかが？
ようこそ Mr.Sのミステリーショップへ。
今日は何をお求めかな」
突然店主が現れたのでグリムは目を見開いて後退りしてしまう。
トレイさんが書いたメモを渡すとサムさんはすぐに店の中へ行き、ビニールを持ってきた。私とルミネが一つ持ち、残りをユウさんとデュースさんが持った。
グリムが「もっと遊んで帰るっ〜！」ってなかなか離れなかったのは大変だったけど、子供っぽいくて可愛かった。
そして場所はメインストリートへ移る。
「なんだかスゴい店だったな」
「ちぇっ。デュースのけちんぼ」
「誰がけちんぼだ！」
「まあまあ二人とも、落ち着いて」
私は二人を宥めようと間に入る。
それからしばらくしてデュースはユウが袋を重そうにしているのに気付く。
「ユウ。そっちの缶詰の袋、重たいだろう。僕が持つ。重たい袋を持つコツがあるんだ」
「そんなコツがあるんだ」
「買い物とか慣れてるんですか？」
「ああ。タイムセールの時に母さんがとにかく買い込むから、毎回袋が重くて。
ウチは男手が僕だけだったから、そうそう仕事は僕が全部……っと悪い。僕ばかりしゃべった」
「お母さんを大事にしてるんですね」
私がそう言うとデュースさんは何処か悲しそうな表情が浮かぶ。
「……いや、全然そんなことはない。俺は、母さんを」
その時だった。
「っいって！」
デュースさんが何かとぶつかり、持っていた袋の一つにあった卵がグチャと潰れてしまう。しかも1パック全滅で、袋の中は卵まみれになってしまった。
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作者名：泡沫の猫 | 作成日時：2020年4月6日 9時
