i 騙すように【HUNTER×HUNTER】 (ページ9)

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7.試しの門ページ9

｢おやAお嬢様、今回は随分と早いお帰りですね。｣

｢うん、ちょっと母さんたちに話すことがあってね。早めに帰ってきたんだ。｣

いつもより早い帰宅に少し驚くゼブロさんと話しながら試しの門を押す。残念ながら私はパワー系ではないので開いてもせいぜい3から4だが。

とにかく私はこの気持ちが冷める前に一刻も早く両親に自分の思いを伝えたい一心で扉を開く。

試しの門は6まで開いていた

｢__いまなんて言ったのAちゃん。｣

｢だから、私この家を出て普通の女の子として生きようと思う。｣

平然とそう答えると母さんはワナワナと紅茶を持つ手を震わせていた

｢A、その言葉がどれほどの重さを持つか。それをわかっていて発言しているのか。｣

怒り心頭に発している母と違い冷静に、私の真意を見定めるように父はこちらを見つめる

｢わかってるよ。私が次期ゾルディック家当主として育てられていることも。それを放棄するに値する発言だってこともね。｣

｢なら尚更分からないな。次期当主としての責任を放棄してまでなぜそれに拘る？｣

｢…友人が言ってくれたんだ、私の好きなように生きていいんだって。普通の女の子らしく生活したい、暗殺一家の跡取りとしてじゃなくてただの彼の友人として。｣

そこまで聞いて激昂した母親から投げられるナイフを避け、父親に向き合う。

父、シルバはAの目を見つめていた。
Aもここで目を逸らしてしまったら終わりな気がしてじっと見つめ返す。

暫しの沈黙のあと父が口を開こうとした瞬間

｢ダメだよ姉さん。｣

イルミが扉を開けて立っていた。

｢イルミ、｣

｢俺たちを置いて姉さんは家を捨てるの？｣

｢…それは。｣

｢そんなこと出来ないよね、姉さんは家族が全てのはずだよ。｣

チクリと胸が痛む。
今私がこの家を出たら、兄弟たちは私の分まで負担を抱えることになる。

特に父親の血を濃く継ぐキルアには。