i 騙すように【HUNTER×HUNTER】 (ページ31)

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29.階段ページ31

｢私A。｣

そう名乗るとキルアの目が大きく開かれる

｢オレのねーちゃんと同じ名前だ｣

｢へーそうなんだ奇遇だなー。｣

Aなんて名前は特別珍しいものではない
その名前が6年前に失踪した姉の名前だったとしてもこちらが明らかな動揺を見せない限り｢同じ名前なんだな｣としか思わないだろう(ちょっと感情がなかったかもしれないけど)

現にキルアもそれ以上特に掘り下げることはなかった

＿＿＿＿＿

およそ三時間
40km近く走っただろうか

なれない子供の体に多少の不自由さは感じたものの特に問題はなく走り続ける

こんなもので脱落者は出るのだろうか、そう思いながら走っていると大きな階段にさしかかる

｢(なるほど。これで大分ふるいにかけるってわけね)｣

現にまわりの参加者も何人か｢まじかよ…｣と声を上げている。
足が短いため一段飛ばしで駆け上がっていると前の方に見知った顔のふたりがいた

｢レオリオ、クラピカ｣

半裸のレオリオと上着を脱いだクラピカ
レオリオに関してはなんで上半身裸なんだ。そしてなんで肌に直接受験番号を付けているんだとツッコミたくなったが彼なりのなりふり構わない全力なのだろうと納得させ突っ込まないでおく

｢A！まだまだ余裕そうだな｣

｢クラピカもね。｣

二人に並んで走っているとクラピカが口を開く

｢Aはどうしてハンターになりたいんだ？｣

急に考えてもいなかったことを言われて声が詰まる
そういう話題の最中だったのだろうか

｢どうして…お母さんにハンター試験受けてみたらって言われたから、とりあえず受けてみたって感じかな。色々と便利だし｣

提案したのは実母ではないし、色々便利なのは暗殺の仕事にってことだけど間違ったことは言っていない。多分
そもそもとりあえずで受けるものではないけど

そういうとクラピカは｢お母さん想いなんだな｣と笑った