i 騙すように【HUNTER×HUNTER】 (ページ18)

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16.仕事ページ18

今日はオフの日。
ヒソカも仕事で家を空けているので私は久しぶりの一人の時間を楽しんでいた。

PIPIPI..

静かな部屋に携帯のなる音がする
至福の読書タイムを邪魔され若干のいらつきを覚えながら電話に出ると、電話越しにやけに楽しそうな声が聞こえてくる。

｢なんの用ヒソカ。3日までパドキアで仕事じゃないの。｣

『やあA♡面白いことが起こってね、君にも伝えてあげようと思って連絡したんだ♡』

｢あ、そう。私暇じゃないからなるべく簡潔に伝えてもらえる？｣

『今日仕事で君の弟に会ったよ♢』

バタン、と持っていた本を落としてしまう

考えていなかったわけじゃない。ヒソカとあの家が関わってしまう可能性は0%ではない。なんならあのヒソカのことだから、そのうち自分から関わりに行くだろうとは思っていた。

ただまさかこんなに早いとは。

｢…イルミ？｣

『当たり♡A＝ゾルディックに心当たりはないかってさ♤』

｢ヒソカはなんて？｣

頭ではわかっていても声が少し震えてしまう。
二年も経ったのだ、心のどこかでは私のことなんか忘れてくれていると淡い期待をしてしまっていた。

『勿論心当たりなんてないよ♡ボクが知っているのはA＝モロウだからね♢』

いつもの調子で答えるヒソカに安堵を覚える。

｢…ありがとう。とりあえずしばらくは身を隠すわ。サポートに回ることが増えると思うけど大丈夫？｣

『OK♡』

それだけ伝えるとヒソカは電話を切った
落ちた本を拾い上げ深呼吸をする。

仕事で出会った相手に私のことを聞くなんて、あの家はまだ私を諦めていなかったのだ。
その事実にどうしようもなく体が震え、笑いが込み上げてくる。

｢私は絶対に捕まらないからな。｣

＿＿＿＿＿

｢A＝モロウねえ。｣

今日たまたま仕事で知り合ったヒソカの口から出たその名前に二年前に消えた姉を重ね合わせる

｢ミルキに頼んでみるか。｣

そう呟くイルミ
再会の日は確実に近付いていた。