i 騙すように【HUNTER×HUNTER】 (ページ15)

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13.戦意喪失ページ15

｢で、私になんの用かしら。｣

暗い公園で自動販売機で買った缶コーヒーを開けがらベンチにかけた。
薄い光の街灯が銀色の髪を照らす。

｢君、ゾルディック家の人間でしょ♢｣

青年がゾルディックの名を口にした瞬間、目にも止まらぬ速さで彼の首にナイフが当てられる。

｢物騒だな〜♧｣

｢誰に聞いたか知らないけど次にその名前を出したら殺す。そして私はもうゾルディック家の人間ではない。｣

やれやれ〜とわざとらしくとぼける彼は、ナイフを当てられているというのに呑気なものだ。あまりにも私を殺しに来たにしてはやる気のない様子に戦意喪失しナイフを下ろす。

｢私が元々ゾルディック家の人間だったとして、一体何を頼みに来たのかしら。殺しの依頼なら今絶賛フリーだから高くつくけど。｣

｢そんなんじゃないよ、ただ君と組みたいだけさ♡｣

｢私と？｣

そう、とトランプを楽しそうに切りながら話を続ける彼

｢以前君を仕事の現場で見かけたことがあってね、天下の暗殺一家の次期当主と噂される人間がどんな殺しをするのか気になって見てたんだ♤｣

｢……恐ろしい程無駄のない殺し、相手になんの慈悲も持っていない瞳、その作り物のような美しい顔に飛び散った返り血…君の全てを見た時、ボクはどうしようも無いほどの興奮を覚えたよ…♡｣

恍惚の表情を浮かべ当時を思い出しているであろう目の前の青年を見つめドン引きの表情で私が思ったことは一つ。

とんでもない変態だコイツ。

｢ああ…今すぐ君と殺り合いたい…♡｣

｢いや嫌だけど、ていうか貴方私と組みたいって言ってたよね。なんで殺す方向にシフトチェンジしてるのかしら。｣

まだ家を出て一日目なのにこんなやつに殺されたら溜まったもんじゃない。☠︎と惜しそうにする青年から自然に距離をとる。

｢私を殺さないことを条件になら組んでもいいわよ。貴方は私の殺しを見れて、私はお金を稼げる、それならWIN-WIN。｣