i 騙すように【HUNTER×HUNTER】 (ページ13)

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11.ヨークシンシティページ13

｢そうか。｣

それだけ聞いて何かを考える冷静な父さんとは反対に母さんは怒り狂ったように声を上げた。

｢なんでちゃんとAちゃんを見張ってないのよ！！あの子がどれだけこの家にとって重要な存在かわかってるの！？｣

花瓶が床にパリンと音を立てて割れる
母さんのヒステリックはしばらくは止まらないだろうな。

｢馬鹿だよねえ姉さんも。ゾルディック家から本当に逃げられるわけがないのに。｣

｢(まあ精々つかの間の自由を楽しむといいさ。)｣

壊されていた発信機を握りしめながらイルミは笑っていた。

＿＿＿＿＿

｢ここがヨークシンシティか。｣

飛行船の窓から眼下の景色を眺める。

とりあえず家を出たものの唯一の友人であるクロロに連絡する手段の携帯は4年前に破壊されてしまった。
かといって実家のあるパドキア共和国にずっといる訳にも行かないので今すぐ遠くに行ける飛行船に飛び乗ってみたところヨークシンシティ行の便だったらしい。

間もなく飛行船はヨークシンシティに着陸しようとしていた

｢(クロロは今どうしているかな。)｣

家にいる間、誰にも見せたくなくてなんとなく隠していたイヤリングを箱から取り出し耳につける。

銀色の髪にサファイアのような瞳を持つ彼女の容姿には黒い十字架がよく映えていた

彼女の脳裏に幼さの残る友人が蘇る
きっと少年だった友人は今頃大人に成長しているのだろう、というかそもそも私のことを覚えていないかもしれない。

_いや4年前だし全然あるな…もしかして覚えてるの私だけだったり。

｢…まずは携帯買うところからかな。｣

なんだか辛気臭くなってしまたけど、出だしから落ち込んでいても仕方ない。切り替えよう。
それにもし再び出会えた時にまた連絡する手段がないのは不便だ。うん。

思い立ったらすぐ行動、飛行船から降りた私は真っ直ぐに携帯を買いに出た。