i 騙すように【HUNTER×HUNTER】 (ページ7)

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5.パンケーキ少女ページ7

｢Aは暗殺者として生きるのが嫌なの？｣

｢うーん、小さい頃はそれが当たり前だと思ってたんだよね。でも一回外に出てみたら違ったんだ、普通の女の子は友達と遊んだり、可愛いお洋服を着たり、一緒にパンケーキを食べたりするらしい。｣

｢だからどうしてもその生き方に疑問を感じてしまって、それが嫌でたまに外に逃げ出すの。｣

暗殺一家の長女で、家を支える跡取りとして育てられて、放棄することも出来ずただ与えられた仕事をこなし人を殺す

｢ようは嫌なことから逃げてたんだよね、暗殺一家なんてやめて普通の女の子として生活したいーって。｣

そんなこと出来ないけどね、と目の前にあるパンケーキを切りながらクロロの問いに答えると彼は平然と答える

｢え、いいじゃん逃げだせば。｣

｢え？｣

｢Aが長女なだけで兄弟いっぱい居るんでしょ？別に投げ出しても誰かに擦り付けられるじゃん。好きなように生きなよ。｣

擦り付けるって…
さも当然と言わんばかりに答えるクロロにまぬけ顔をする

｢逃げ出したあとが不安なら俺のところにおいでよ、なんなら俺がゾルディック家から盗み出してあげようか。｣

小恥ずかしいセリフをよくそんな普通の顔で言えるもんだ。それでもクロロが言うと様になるから不思議なものか。

｢まあ盗み出すのは冗談だ、でもAが好きなように生きていいのは事実。自分がしたくないことを家のルールだからってし続ける必要はないよ。｣

そう笑うクロロに何故か不思議と安心感を覚える

｢…今度両親と話してみる。私、クロロといろんなところへ行ってみたいし。｣

パンケーキを口に含みながら両親の顔を思い浮かべる。正直普通の女の子として生きたいなんていったらどんな渋い顔(もしくは激怒)をされるかなんて想像出来るけど。

それでも私が普通に生きるのを良しとしてくれる人がひとりでもいることが嬉しかった。