1.小言 ページ3
「姉さん、また勝手に家出たでしょ。母さん怒ってたよ、心配だからひとりで出歩かないでって。」
「だって退屈だったんだもん、依頼も終わらせて外に出たのに何がダメなのさー。そもそも母さんのあれは心配じゃないでしょ。」
またイルミのお説教もとい小言が始まった。
ついこないだ13歳になったばかりだと言うのにお姑さんみたいなこというんだから、まったく誰に似たんだか。
「ちゃんと帰ってくるからいいけど、それで仕事かまけるなんてことしちゃダメだよ。」
「しませーん、イルミのその小言は母さん譲りだな。イルミも一緒にくればいいのに。」
そういうとイルミは微妙にムッとした表情をする。
「小言って…姉さんを心配してるだけなのに、姉さんそのうち気まぐれで帰って来なくなりそうだし。」
そう拗ねた様子で言うイルミに思わずふっと笑ってしまい「そんなことないよ」と頭を撫でる。
「私の帰る場所はここしかないし。」
まあ今のところは だけど。
そう頭を撫でられ満更でもなさそうイルミを見ながら微笑む。
.
「ん〜!今日も今日とて絶好の家出日和!」
依頼を終えて、家に帰ることなく外をブラブラと出歩く。
空は快晴!雲ひとつない青空!あ、嘘。1個だけあった。
「今回は2日くらい外泊しちゃおっかな」
こないだ怒らればっかりだと言うのに我ながら懲りないな。まあやめないんですけど。
この家出、もとい不定期外出を始めてから早5年が経った。最初は両親にこれでもかと叱られ独房に入れられたりもしたが、両親も諦めたのかはたまた呆れたのかこの不定期外出についてそこまで大きく言わなくなった。(母親は別)
そして、多分小言が減る大きな決め手となったのは新しく弟キルアが産まれたことにあると思う。
産まれたばかりのキルアは私に、そして父親によく似ていた。
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ゆず - すごい面白いです!読んでて楽しい!!更新頑張って下さい~!!!! (2021年11月22日 23時) (レス) id: ca6bd424a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mari | 作成日時:2021年7月30日 4時