恋じゃない…… * Kento.N

05 ページ5

Kento side









隣ですやすや眠るAちゃん。








長いまつ毛に、すっと通った鼻筋、

ちょっと開いた口と、柔らかそうな唇、

透き通るような白い肌………………









気持ち悪いって思われるかもしれないけど、

改めて近くで見るとこんなに綺麗なんだって思った。









それにしても、なんで今日は一人なんだろう……

いつもはアイツ………風磨と一緒なのに。









まぁ、好都合なんだけどさ。









そんな事を思いながらしばらく電車に揺られる俺。









次第に降りるべき駅に近づいてきて……









「Aちゃん、起きて。そろそろ着くよ。」









だいぶ深く眠ったAちゃんを起こす。









案外寝起きの良かったAちゃんは

すぐに起きてくれて、一緒に学校へ向かった。









その登校中、ふと向けた視線で気づいてしまった。









「あれ、首どうしたの……？」









真っ白な首筋に一つ、絆創膏が貼ってあった。









『えっ、あぁ………………』









風が吹いて後ろにいっていた髪を前に持ってきて

首筋の絆創膏を隠したAちゃん。









『なんか虫に刺されたみたいで……苦笑』









そう言って掻く素振りを見せる。









気にしないで？なんて言ってるけど

そんな苦しそうに笑顔を作られたら気にせずにはいられない。









聞こうかな、って思って声を出そうとした時









“ 健人くん〜！おはよ〜!! ”

“ あ！健人くん〜！”

“ はぁ？隣になんであいつ？”









心無い女の子の声が耳に入った。









それはAちゃんも同じだったみたいで……









『私先行ってるね。』









そう言って足早に学校に向かってしまった。









.

06→←04

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す