恋じゃない…… * Kento.N

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『中島くん、大丈夫……？』

「へっ………………？」









次の日の日曜。

疲れた心をあの家じゃ癒すこともできず、

少し疲れたままバイトをしていればふと心配された。









『なんか、顔色悪いよ……？』









人の少ないお昼すぎ。

特にやることもなくて2人で話してたんだけど

途中からどこか上の空になってたらしい。









「大丈夫だよ、ごめんね？」









そう、心配させたくなくて無理に笑顔を作った。









それでも、身体は正直だ。

いつもと違って揺れる視界は、

アイツの笑顔とともに吐き気を連れてくる。









「ごめっ、ちょっと………………!!」

『え、あっ、中島くん………………!?』









込み上げてくる何かをどうにかしたくて、

急ぎ足で裏に逃げ込む。









気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……









((兄さん。))









頭によぎる、アイツの嘘臭い顔と声。









「………………っ、うるせぇよ…!!」









吐き気とともに込み上げた怒りを、

拳いっぱいに壁へ叩きつける。






だけどそれだけではどうしようもできなくて

力なく、床にへたり込む。









『だっ、大丈夫………………？』









この気持ちをどうしようもできなくて、苦しくて……

なにも受け入れられないはずなのに

心配そうに近づいてくる彼女だけは受け入れられる。









『………ちょっとお休みしたら…？』









心配だけど様子のおかしい俺が少し怖いみたいで

中々伸びきれないその小さな手。









この状況でその手は痛く、

息もできないほど苦しいものなのに









『……中島、くん………………？』









自らそれを求めに行く。









ゆっくり、小さな手に溢れる大きな優しさを

ひとつひとつ噛み締めるように自然と彼女を抱きしめれば

それはそれは小さな可愛さが溢れる。









その小さな行動のすべては俺には毒で、

どんどん身体中に駆け巡り俺を壊していく。









それに気づいているのかいないのか。

優しく、俺に続くように背中に回されたか細い腕。









もう、毒は回りきってしまって









「…………………………好き。」









麻痺した口が、勝手に紡ぐ音。









もう、中 毒 なんだ。









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