恋じゃない…… * Kento.N

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Kento side









［健人、まだバイトなんかしてるのか。］

「………………なんか文句あんのかよ。」









最近、こういう話でよく父さんに呼び出される。

しかも、必ずバイトが入ってる時間に。

別に、呼び出しに必ず応じる必要なんてないんだけど

この状況を伸ばしたって俺の未来は変えられないから。









［お前には、会社を継いでもらわないといけないんだ。］

「だからバイトをする時間は無い、と？」









わかってるじゃないか、なんて俺を見ずに言うけど

こんな会話毎週毎回されたら嫌でも覚える。









「というか、俺じゃなくても継ぐ奴がいるだろ。」









パソコンを打ち続けていた指を止めて

自分の隣に座り資料作りをしてる隣のヤツを見た。









［この子はお前の補佐だ。継がせはしない。］









「だから、それが面倒臭いんだって。」









いちいち補佐なんか……

そんなやつに教える時間があるなら最初から俺を教えろよ。

そうしなかったのは……









((はい、僕はあくまでも補佐なので。))









この上っ面が整った、

中身のどす黒い、









((だから兄さん、僕の事は気にしないで下さい。笑))









仮の、弟のせいだ。









［お前も勝利を少しは見習ったらどうなんだ。］









名前は勝利。

俺が小学3年の時に施設から引き取られてきた。

歳は3つ下で今はまだ中学生だ。








なのに、どこで覚えたのかわからないが

最初から嘘くさく笑う奴だった。

だから今も、昔も俺はコイツが嫌いだ。









コイツが笑いかけるだけで、吐き気がする。









しかし、父さんも父さんだよ。

どう見ても嘘くっさいのに騙されやがって。









「とにかく、辞めるつもりはないから。」









そう言って出ていこうと振り返る時、









((…………………………ﾌｯ。))









一瞬、アイツの口角が上がった。









「………………………………ﾁｯ。」









あー、むかつく。









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