恋じゃない…… * Kento.N

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『どうしたの、そんな所で……？』

「ちょっと話がしたかったんだけど………………」









そういう中島くんは、

明らかに隣で不機嫌なオーラを放つ風磨を見て

ものすごく心苦しそうな顔をしてる。









《A、はやく行くぞ。》

『う、うん………………』









不機嫌な風磨、苦しそうな中島くん。









どちらを選ぶべきか、

前までの自分なら比べるまででもなかったのに

今ではなかなか決められない悩み事になっていた。









そして、彼の隣を通り過ぎる時にやっと決断ができて









『ごめん風磨、先行ってて………………？』









なぜか、心は風磨じゃなくて中島くんを優先する。









《………………は？なんで。》









前までなら、

あの時のような子供の目をして不安そうな顔をしてたのに

今では明らかに子供ような感じが微塵もない。

むしろ、なんかその目がすごく………………









怖い……………………………………









そう、身体が微かに震えるんだ。









「………………すぐ返すから。」








怖い目をする風磨を、

優しい声の中島くんが宥めてくれる。





でもその声は私の震えも止めてくれる魔法の声。








《…………………………ﾁｯ。》









この場に吐き捨て、置いていくように舌打ちをしてから

風磨は少し早足で目の前の教室に入っていった。









「………………なんか、ごめんね…？」

『ううん、こっちこそ風磨がごめんね……』









眉を申し訳なさそうに下げて謝る中島くん。






その声、その表情、その仕草……




そのどれもが私の心の中の恐怖心を

一瞬にして吹き飛ばしてくれる。









この感覚は、何なんだろう。









前まで中島くんが苦手だったはずなのに、

今では彼を見る度に安心するんだ。









今まで一度も感じたことのない感覚……









これは、なに………………？









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