恋じゃない…… * Kento.N

14 ページ14

your side









〔あっ、ちょっと！〕









保健の先生が

バタバタ遠ざかる足音に声をかける。

その足音は止まらず、次第に聞こえなくなっていた。









もしかして、見られた……？









泣いている風磨に気を取られすぎて、

全然気づかなかった。

それは風磨も同じなようで

さっきまで流れていた涙が驚きで止まっていた。









2人で顔を見合わせ、戸惑っていると

クリーム色のカーテンが開いて保健の先生が顔を覗かせた。









〔あ、菊池くんも起きた？〕









ついでだから菊池くんも病院ついてくる？

なんて呑気に話す先生とは裏腹に

私たちには嫌な汗が止まらない。









病院に向かう途中の車内で握りあった手も

お互い嫌な汗でびっしょり。









そんな状態で診察を受けて、

異常なしと言われた私は大事をとって

その後の授業をお休みした。

もちろん風磨も一人で戻れるわけないから帰ってきた。









《………………これから、どうする？》

『……とりあえず、明日はいつも通りにしよう。』









とりあえず、明日はいつも通り学校に行って

もしなにか変な噂でも出てたら……









『その時は、学校辞めようか。』









元々、2人で生きていこうって出てきたんだから

それくらいの覚悟はお互い出来ている。









《………………そうだな。》









その後、精神的に疲れた私達は

特に何もすることなく夜を迎え









静かな朝を迎えた。









.

15→←13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す