・ Iwata side ページ48
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俺の質問にコクコクと頷いて涙を流すAはいつもよりも幼くて小さかった。
『っ、でもね、…諦めなきゃって思う度に苦しくなって、好きってなっちゃって、だからよくわかんなくなって、
それで、だったら、嫌われればいいって。
嫌われたなら、話さなくて済むし、それに、もう、辛い。
諦め切れないから、静かに好きでいようって、決めたの、決めたのに!』
嗚咽を漏らしながら泣くAは、普段からじゃ考えられないくらいに泣いていた。
登坂「……でも、Aと相手がそれだけ想いあってるなら大丈夫なんじゃ─」
『そんなの!!!そんなのも、何回も思ったし考えた。
一杯、一杯考えた!
でも知ってるの。…沢山、お互いの事を想って愛し合って、やっとの思いで付き合った。
それなのに、お互いが芸能人だからって、片方がアイドルだからって理由で苦しんで、
撮られても頑張ってたけど、結局は頭の良い大人達に引き離されて、周りを巻き込んで、ボロボロになってく──』
背中に回ったAの手の力が強くなった。
『知ってるんだよ、』
か細い声が楽屋に響いて、いつも賑やか三代目の楽屋に、静けさが訪れる。
『知ってるの。……“付き合わなければ、こんな想いしなかった。
好きだけで、止めておけばよかった。
付き合って、好き以上を知らなければ良かった。
あの時やめておけば、後悔しながったのに”って。
教えてくれたの、“芸能界にいるなら、自分の気持ちを押し殺してまで諦めなければならないものだってある。”って。
きっと、それが今なんでしょう?』
そっと俺から体を離して、涙で濡れた瞳で俺の目を見る。
『今、なんですよね、?』
また一筋、両目から涙が零れた。
そっとその涙を拭う。
岩田「後悔は、してるの?」
『……今はしてたとしても、いつか将来これで良かったんだって思う日が来る。』
岩田「そっか、」
そう言ったAの表情が、どこかアイツに似てる気がして苦しくなった。
もう一回Aをギュッと抱きしめて背中を撫でる。
きっとAは、俺らには想像出来ないくらいに苦しんで、たった一人で悩んで決意したんだと思う。
……アイツもそうだったのかな、
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あーあ - 芸能人だからって好きな人とくっつかないくせに、あっちにふらふらこっちにふらふら。ご都合主義なお話ですね。 (2018年5月1日 12時) (レス) id: 5fc67c41e7 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 主人公に追い討ちをかけるように次々と恋愛がらみの事が起きて、切なくて可哀想になります!ぜひ涼太くんとくっついて幸せなハッピーエンドになってほしいです! (2018年4月22日 15時) (レス) id: c776edb7b6 (このIDを非表示/違反報告)
みうらむ(プロフ) - すごく面白くて楽しみにしてます^ ^瀬名ちゃん切な過ぎて、こっちではハッピーエンドになって欲しいなぁ。 (2018年4月17日 23時) (レス) id: 5791f12782 (このIDを非表示/違反報告)
luvyt49(プロフ) - 早くくっついてほしい!もどかしいし切なくなる (2018年4月16日 1時) (レス) id: 8135c1fd36 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとうですこの小説最高です更新大変だと思いますが頑張ってください応援してます作者さんの小説大好きです (2018年4月14日 8時) (レス) id: 39e38305d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2018年4月13日 22時