黄金の雨は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

守る宿命 ページ7

黒木「若武っ！寿っ！」


黒木くんが急いで降りて来てくれて、その後に続いて皆も駆けつけてくれた。


黒木「おい若武、大丈夫か」


黒木くんが若武くんと私の脇にひざまずき、皆はそれを取り囲む。


A「どうしよう。若武くんの意識がないの！」


血相を変えて言うと、上杉くんがスマホを取り出した。


上杉「救急車、呼ぶ？」


そう言った上杉くんに、黒木君が頷いた直後、若武くんがパチッと目を開けた。


若武「なんちゃって！」


私の腕の中で、いたずらっぽい笑みを浮かべる。


若武「いやぁ、我ながらビックリした。まさか落ちて、寿に助けられるとは思わなかったからさ」


上杉「馬鹿野郎」


上杉くんが若武くんの頭を小突く。


小突いた部分を私は右手で撫でて、微笑んで言った。


A「良かった。無事で」


若武「辞めろよ。ガキじゃねぇんだから・・・」


少し頰を赤く染めて、撫でている私の手を払いのけて立ち上がる若武くん。


ちょっと可愛いかも。


立ち上がった若武くんを見て、上杉くんがニヤッと笑った。


上杉「女に守られてる時点でガキだよ」


若武「なにおっ！」


挑発されて上杉くんに殴りかかろうとする若武くんだったけど、直後、ガクンと地面に膝をついた。


まるで誰かに膝カックンされたみたいに。


若武「あれ、どうしたんだ、俺」


黒木くんが、珍しく真剣な表情で、若武くんを覗き込む。


黒木「どっか、痛むか」


若武「ま、転げ落ちたんだから、多少は」


直後、私の中に不安がよぎった。


もしかしたら、足をカバーしきれてなかったのかもしれない。


本当に出来ていなくて、若武くんの足が怪我してたらどうしようっ！？


若武くんはサッカーをしていて、トップ下に入れるほどの実力者。


将来の夢はプロのサッカー選手だと聞いている。


若武くんにとって足は大事なもの。


もし、怪我をしてたら・・・私は・・・。


若武くんを守りきれなかったことになる。


今後、若武くんにどんな顔を向けていいか分からない。


それに、一応、私は運動神経の良さを認められてKZにいる。


戦闘は積極的にやったり、時にはボディーガードをしたり・・・。


つまり、私はKZの一員としての役目も果たせなかったことになるんだ。


私は悲しくなって、サッと目を伏せた。


それを見た若武くんは、私の顔を覗き込んで言う。


若武「そんな顔するな。大丈夫だからさ」


ニッと笑ったその笑顔は、太陽のように眩しかった。

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