黄金の雨は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

嘘だらけの内緒話 ページ15

私は美門くんの耳元に口を近づけ、美門くんは聞き入るように私の口に耳を傾けた。


まるで内緒話をしているみたい。


私は美門くんの耳元で囁く。


A「実はね、私の不良グループの中にスパイがいるかもしれないの。麻薬取引のね。皆、良い子だから断り続けてるんだけど、そいつがしつこくってさ。

で、2〜3人の協力者が麻薬取引の奴と接触して、取引をするふりをしてね、その場に居合わせて取っ捕まえてやろうって作戦。袋に入ったネズミでしょ？美門くんに協力を頼んでもいいけど、この作戦、結構前から立ててメンバーも固定されてるから、いきなり美門くんが入ってきたら、何コイツってなっちゃうよ。

だから、ごめんね」


まあ、全部作り話だけど。


でも、なかなか上手い嘘をつけたんじゃない？


美門くんは口をへの字にした。


美門「残念。次は参加させろよな」


A「機会があれば、ね」


よかった。諦めてくれた。


そのまま、若武くんのいる病室へ行き、美門くんが手に入れた新情報を聞く。


分かったことは、診察の持ち主が野村泰介という人物。


離婚することになった野村は慰謝料を払うため、あのバラまかれた新札を妻に渡そうとしたんだけど、離婚に反対した娘と息子が、その新札をビルの上からバラまいたらしい。


なるほど。ココナッツクッキーの匂いがした理由も納得できるかも。


若武くんが、足の上においた羽根枕を抱きしめた。


若武「野村泰介が、10年前に3億円強盗事件の犯人だった可能性は高いな」


そうだね。


あと、3億円強盗事件っていうのは、銀行から盗んだ金を1人の男が車で強奪し、逃走の途中で大型トレーラーに激突。


男は即死だったらしい。


でも、現場のあるはずの3億円は何処にもなかった。


遺留品もばくて、遺体の損傷も酷かったので、身元が誰かもわからない。


若武「野村泰介は、現場から現金を持ち去ったのかもしれないな。野村の娘に聞いてみるか？」


上杉くんが鼻で笑う。


上杉「簡単に話すかよ」


すると美門くんが、眉をあげた。


美門「脅して、話させるのは？」


まあ。私みたいなことするんだね。


若武「よし、それでいこう」


若武くんが飛びつく。


若武「どうやって脅すかは明日までに考えよう。じゃ、解散！」

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