赤い仮面は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

謎の女 ページ9

MASUQUE ROUGEについて、次々と発言が飛び交う中、私は手を挙げて発言した。


A「あのさ、国際手配されてる窃盗団なら、駅で美門くんを襲ったりするのは、変じゃない？」


上杉くんが勢いよく腕組みを解いた。


上杉「だよな。それって、国際的窃盗団にしては、ショボすぎるじゃん」


美門「模倣犯って可能性ない？マネてたとしたら、駅裏でバスケ部員を襲うなんてチンケなことしたりするでしょ」


若武「いかにも不良がやりそうじゃん」


再び盛り上がる皆の中、私はまた手を挙げて発言した。


A「その点については、もう調べた。襲ったのは不良じゃない。あそこを拠点にしてるグループは居ないって」


小塚「でも、3人のうち2人は中年の男だったよ？」


A「その点は、ちょっと引っ掛かる。私たちが昨日会った人数は3人、でも今朝のニュースでは2人だった。防犯カメラに映ってたガタイからして、映ってたのはこの中年の男たちだけ。でも残りの美門くんを襲った中学生らしき子の存在は、世間では無かったことになってる。何故かは分からないけど、裏はありそう」


シュン、貴方はいったい、何を考えているの？


この前、私は喉から手が出るほど欲しいって言ってたけど、もしかして強盗をやらせるため？


考え込んでいると、若武くんが言った。


若武「寿、いま本気モードに入ってる？」


A「え？」


突然の発言に、私はキョトンという顔をする。


すると皆が口々に言った。


小塚「寿って、たまに雰囲気がガラッと変わっちゃうよね。スリルを求めてる僕たちからしたら、痺れちゃうよ」


上杉「あぁ。この前も、そんな感じだったしな。謎の多い女だ」


美門「うん。この前も闇金グループを撲滅させたみたいだしね」


若武「マジかよ！何で俺を呼ばなかったんだっ！次は呼べよなっ！」


黒木「僕は好きだよ。ミステリアスな子。ねぇ、寿、今なに考えてたの？」


黒木くんの言葉が胸に突き刺さる。


MASUQUE ROUGEのこともだけど、いつも仕入れてくる情報はいったい何処から取り入れてるの？


それに常に心を読まれてる気がする。


今の「なに考えてたの？」は、きっと「MASUQUE ROUGEについて、何か知ってるでしょ？」って言ったに違いない。


出会った時から思ってたけど、黒木くんって何者なんだ？


でも、私がMASUQUE ROUGEに入っていることは、言えない。


私はそれを隠すように、不敵な笑みを浮かべて言った。


A「私は、ただスリルを求め続けてる女よ」


それを聞いて、皆は息を呑んでいた。

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