ハート虫は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

事件の真相 ページ35

調査を終えて、庭に出ると、黒木くんが来ていて、何故か美門くんとアーヤがグッタリとしている。


それに異臭がすごい。


もしかして2人は、この臭いでダウンしちゃったのかな？


そして臭いの元のは下水だと言うことを知り、そこには人の髪の毛や歯があって、多分、北森啓太郎の父親の物だろうと推測した。


上杉くんが舌打ちをする。


上杉「つまりさ、俺たちが最初にここを訪ねた時、本人はすでに下水の中だったってことかよ。会わせられないはずだ」


若武くんが頷いた。


若武「俺たちを急いで追い払おうとしたわけも、清掃業者を頼めなかったわけも、これではっきりしたな。殺人だ」


小塚くんが慌てて口を開く。


小塚「そうとは限らないよ。親子の仲はよかったって話だし、啓太郎は心臓が悪かったんだから、病気かもしれない」


上杉くんが、信じられないと言ったような冷たい眼差しを小塚くんに流した。


上杉「病死だったら、普通、医者に届けるだろう。下水にゃ流さねーよ」


うん。そうだよね。


謎だ。1回整理しよう。


北森啓太郎は、製薬会社をクビになって、今は無職。


そんな中、北森秀雄の父親が殺人か病気で死んだ。


秀雄はそれを隠蔽。


殺人でも病死でも困ることは・・・お金。


秀雄は無職になって収入がなくなったから、父親のところへ転がり込んで、年金暮らしだった。


父親だけが頼りだったのに、その父親が死んだとなると年金がもらえなくなって生活できなくなる。


年金をもらうために、父親の遺体を下水に流したんだね。


父親と仲が良かったことを考慮すると、殺人とは考えにくい・・・としたら病死。


全ての真相が見えて、私はフッと笑う。


上杉「何か分かったのか？」


A「うん。この事件の全ての真相、啓太郎の父親は小塚くんの言う通り、病死」


若武「なんでそんなこと分かるんだよ」


A「それも小塚くんの言う通り、仲が良かったから。秀雄は製薬会社がクビになって収入がなくなって、父親のところは転がり込んだの。年金目当てでね」


年金という言葉を口にした途端、皆も真相が見えたようで、顔つきがガラリと変わった。


でも、ただ1人、分かっていない子が。


立花「あの。今、話が飛んだような気がするんだけど。秀雄が父親をあんな風にした理由は、なんなの？」


あらあら。


皆は信じられないというように顔を見合わせていたけど、私はアーヤの鈍感さに笑っていた。


もう、アーヤは相変わらずだな。


私たちの反応にムッとしているアーヤも、本当に鈍感なんだな。

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