ハート虫は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

あたたかい家庭〜アーヤside〜 ページ21

若武「おい、アーヤが上杉に見惚れてやがるぞ」


違うっ！


若武「上杉に見惚れる前に、俺に見惚れろよ」


だから、違うっ！


上杉「にしても、怪しいな。俺、当分の間、見張ってみようと思う」


やる気の満ちた上杉くんを小塚くんが止めた。


小塚「駄目だよ。寿は仲間だろ？お互い詮索し合うのは、良くないよ」


確かに。プライベートなことかもしれないしね。


若武「何言ってんだ、小塚。アイツには隠し事が多すぎる！」


上杉「おいおい、若武先生。それは黒木だって同じだろ。小塚、お前に賛成だ。下手に詮索して、寿に勘付かれたら、アイツは絶対にKZを抜ける」


小塚「寿が抜けたら、痛手かもね。黒木みたいに人脈もあるみたいだし、何より強いしね」


立花「うん。私もAが抜けたら嫌。ここは活動を続けるべきだよ」


上杉くんと小塚くんがウンと頷くと、若武は「ちっきしょう！」と言って、活動を続けることに。


結局、1件しか予定通りには活動できなかったけど。


ボランティア活動が終わったところで、Aから電話がかかってきた。


若武がスピーカーをオンにして、通話し始める。


若武「どこに行ってたんだっ！？あの後、上杉が追いかけたけど、すぐどっか行っちまって！」


A「ごめん。ちょっと、プライベートで」


若武「なんだよ、それ。言えよ！」


あーあ。若武、すっごく不機嫌。


そんな不機嫌な若武を物ともせず、Aは言った。


A「無理。あと、今後こういうこと何回かあるかもしれないから、よろしく」


若武「なんだと！？これ以上、勝手な行動は許さんっ！除名するぞっ！」


除名っ！？


上杉「おい、若武。さっき話ただろ。寿を失うのは痛手だって」


そうだよっ！


すると、電話口から静かな声が聞こえた。


A「除名・・・。いつか、そんな日も来るかもね」


それを聞いた瞬間、皆はシンと静まり返った。


Aが、まるで自分が除名される未来を暗示しているかのように言ったんだもの。


Aは不良界にも詳しいみたいだし、何かに巻き込まれてるとか？


それとも・・・あっ！この前のテロ事件！


あれは、襲われたんじゃなくて、任務として向かってたのかもっ！


だとしたら、本当にスパイだよね。


若武はしばらく黙ったあと、言った。


若武「・・・いいから、早く帰ってこいよ」


A「ん。本当にごめん。ありがとう」


ホッ・・・。とりあえず除名にならなくてよかった。


でも、Aは何か大きな物を背中に背負ってる気がするのは私だけ・・・？

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