43:アレルギー ページ5
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4月初旬━━━━━━━━。
春の陽ざしは石畳に含有された金属質の結晶をきらきら光らせ、その反射光のせいで広場の風景はハレーションを起こしたフィルムのように淡く揺らいで消えかけている。
初めて来た制服は、まだ体に馴染んでおらず、どことなく浮いていた。
事前に知らされていたクラスの教室に入り、座席を確認して席に着く。
半分以上のクラスメイトが揃っていたが、誰一人話さず各自の席でじっとしていた。
今日は入学式だけだったので午前中に終わり、迎えに来てもらったキャメルの車の後部座席に乗って帰る。
「どう?新しい学校の雰囲気は」
『………悪くはないと思う』
「ははっ!ジョディさん、まだ初日だから分かりませんよ」
「まぁ。それもそうね。新しい友達、早く出来るといいわね」
『ええ』
そして、入学から数日たち学校の雰囲気にも慣れてきた頃のことだった。
若武から何件もの不在着信がきていたのだ。入浴中だったため全く気づかなかった。
濡れた髪をフェイルタオルで拭きながら電話をかける。
「もしもし」
『もしもし。ごめん。お風呂入ってて……』
「別に構わん。だが緊急事態だ!今週の土曜にKZを招集する。午後集合にしてるがお前は朝から来い!」
『…………』
集まる理由を全く述べてくれないのに行けと言うのか。
『良いけどKZを招集する理由は何?』
すると、今度は若武が口ごもった。
「豚アレルギー……発症しちまったんだ。俺、気をつけてるのに。最近食べた物を全部調べたが豚はなかった。ここまで言ったら分かるか?」
『つまり、食べた食品の中に表示を偽っているか何らかの原因で豚肉が混じっている可能性があるから調べて欲しいってわけね』
「さすが荷物持ち!!で、お前には集合前に身の回りの事やって欲しいんだ」
『え?島崎さんは?』
「やって欲しいことは当日伝えるからよ。じゃっ!」
そのままブツッと一方的に切られた電話。
*
後日─────。
『手伝って欲しいって宿題のことだったのね』
「ドーナツやるから許してくれ。身体がだるくてベッドから抜け出せねぇんだ」
『………………』
彼の宿題を手伝うのはこれで何度目だろう。そして、彼の字を真似するのは何百回目だろう。
まぁ、もう慣れた作業だが───────。
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??? - 今頃、KZ✕コナン と言う事に気づいた。(バーボンの所で気づいた)) (2022年12月18日 22時) (レス) @page25 id: a3d070ab9a (このIDを非表示/違反報告)
ピンカン(プロフ) - 応援してます!!! (2022年3月24日 12時) (レス) id: 4d85ff89bb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - KZ×コナン!めっちゃ面白いです!応援してます! (2022年3月10日 13時) (レス) id: 8e64252870 (このIDを非表示/違反報告)
絵 - 最高です!これからも応援しています (2021年11月10日 21時) (レス) @page21 id: a4d316c6c5 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 面白かったです!頑張って下さい! (2021年3月11日 19時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こはる x他1人 | 作成日時:2021年3月11日 17時