41:理不尽 ページ3
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受験が終わった後、塾では中学準備講座といって中学1年で習う数学、国語、英語の三科目をすることになっていた。
私は若武以外の受験はどうなかったのか確かめるため特別クラスへ向かう。
若武は受験に失敗したことを皆に伝えるのが苦なのか「今日は休む」ということなので一人。
扉を開けると若武を除く全員がそろっていた。
「須藤。どこ受かった?」
1番初めに口を開いたのは黒木。
『桜陰』
ポツリと答えると全員がニコリと微笑む。
「おめでとう」
「流石だな」
『ありがとう。皆は?』
アーヤを除く3人は一瞬、顔を見合わせ同時に言った。
「開成、合格」
以前までは快く『おめでとう』と言えただろう。勿論、その気持ちはあるのだが、これで若武だけが落ちた事になった。
しかも、小塚や上杉もテスト1ヶ月前は必死に勉強していたのに黒木ときたら、ほとんど遊び歩いていたというのだ。
若武も1ヶ月前は必死で、私とでさえ一切連絡を取らなかったのに。
真面目な人間が負ける世の中。これは表の世界でも裏の世界でも共通なのだということが発覚した━━━━━━━━。
世の中は平等でなく、なんて理不尽なのだろう。
『おめでとう』
教室に中身のない祝い言葉が響き渡る。
「若武は?今日来るの?」
席に着く途中で、立花さんに尋ねられ頬がつる。
聞かないでよ。
目を合わせず、背中を背けたまま返答した。
『知らない。家の前で待ってても、来なかったから、てっきり先に行ってるのかと。けど、私の方が先に来ちゃったみたいね』
「………そうなんだ」
私の返事を聞いて、全員が顔を合わせた。
そしてこう思っただろう。
「若武は須藤に真実をつたえていないのではないか──────」と。
プライドの高い彼だ。特に私の前では高い。だけど「受かった」と私に嘘をついて何のメリットがある?
私は冷ややかな目を横に向ける。
『臣君が落ちたこと、知ってるから』
吐き捨てるように発言したあと、新品の英語のワークを取り出し、予習を始めた。
皆は気まづそうに、また顔を見合わせた。
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??? - 今頃、KZ✕コナン と言う事に気づいた。(バーボンの所で気づいた)) (2022年12月18日 22時) (レス) @page25 id: a3d070ab9a (このIDを非表示/違反報告)
ピンカン(プロフ) - 応援してます!!! (2022年3月24日 12時) (レス) id: 4d85ff89bb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - KZ×コナン!めっちゃ面白いです!応援してます! (2022年3月10日 13時) (レス) id: 8e64252870 (このIDを非表示/違反報告)
絵 - 最高です!これからも応援しています (2021年11月10日 21時) (レス) @page21 id: a4d316c6c5 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 面白かったです!頑張って下さい! (2021年3月11日 19時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こはる x他1人 | 作成日時:2021年3月11日 17時