48:砂原 ページ12
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立花さんは、砂原の一件を聞いて青ざめたが食い下がる。
「私のことは放っておいて。若武だって勝手にデートの約束してたくせに、私のことだけ口出しするなんておかしいじゃない」
「俺の相手は、砂原みたいなヤンキーじゃないんだ。一緒にするな」
「私だって一緒にされたくない。理由も聞かずに簡単に男を振るような軽い女と、私のクラスメイトを」
2人は物凄い勢いで睨み合い、その間に黒木が入って止めた。
「熱くなりすぎだよ」
若武は仕方なさそうに溜息をついて横を向いた。
しかし、アーヤはノートをたたみ「帰る」と言って、そのまま部屋を出て行ってしまった。
何故、彼女はそこまで砂原にこだわるのだろうか。
校内で見かけただけなら、ここまで庇う理由はない。
「隣の席だ」と言っていたので既に仲が良くなっているのだろう。
「何であそこまで砂原にこだわるんだ」
ムスッとした様子でベッドに戻る若武。
「須藤も砂原のこと知ってるだろ?」
『……まぁ』
小塚に話を振られた私は目をそらして返事をした。
「そういや、たまにお前が小学部のマネしてた時、いっつも絡んでたよな」
若武が目を細める。
『ええ。彼が話しかけてきたこともあるけど、休憩時にはドリンクを配ったり、怪我をした時には手当てをしていたから……』
「砂原って、そんなに良い奴だったのか?」
『…………さぁ。けど、根はとても優しいんじゃないかしら。私が何かしらするたびに「ありがとう」と御礼を言ってくれていたし』
「悪かったな。言わなくて」
余計な一言のせいで、主人だけでなく他の男達の機嫌も悪くした。
私としたことが……。
しかし、事実だ。目の前にいるサッカーチームKZ部員含め、差し入れやスポーツドリンクを渡す際に御礼を言ってくれる人は少ない。
はじめは何とも思っていなかったが砂原に「ありがとう」と言われたとき、一瞬、思考が停止した。
それと共に辺りが輝いて見えたことはよく覚えている。
「今日の会議は終わりにしよう。アーヤ、怒って帰っちゃったし」
確かに小塚の言うとおりだ。この空気の中、会議続行は不可能。
「では、解散」
機嫌が悪い若武の声を最後に、皆はいそいそと帰りの支度を始める。
その途中、スマホのバイブ音が鳴った。画面を見ると「Rye」という名前が表示されている。
この男から電話がかかってきたということは……。
また組織が…………。
『ごめん。お先に』
私は後ろも振り返らず、部屋を飛び出すようにして皆と別れた。
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??? - 今頃、KZ✕コナン と言う事に気づいた。(バーボンの所で気づいた)) (2022年12月18日 22時) (レス) @page25 id: a3d070ab9a (このIDを非表示/違反報告)
ピンカン(プロフ) - 応援してます!!! (2022年3月24日 12時) (レス) id: 4d85ff89bb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - KZ×コナン!めっちゃ面白いです!応援してます! (2022年3月10日 13時) (レス) id: 8e64252870 (このIDを非表示/違反報告)
絵 - 最高です!これからも応援しています (2021年11月10日 21時) (レス) @page21 id: a4d316c6c5 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 面白かったです!頑張って下さい! (2021年3月11日 19時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こはる x他1人 | 作成日時:2021年3月11日 17時