47:砂原 ページ11
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「その冷凍食品工場の名前は」
「砂原ミート株式会社だ」
その会社名を聞いた時、ある一人の男を思い浮かべる。
「給食センターと取引を従っている食品会社は、市内に沢山あるらしい。安定した収益になるし、県営の給食センターと取引すると、その実績で、官公庁、つまり市役所や消防署や警察署の食堂なんかにも出入りしやすくなるからだ。
この数年は、ずっと砂原ミートが給食センターへの納入を落札している。砂原ミートは冷凍牛肉で県の賞を取ったし、施設も衛生的で保健所から表彰されているし、市民に工場見学もさせている優良企業だ。年中無休で営業している。量産するから価格も安いらしい」
信頼度が高い会社。そんな会社の工場で、豚なんかが混じっていたりすると大惨事だ。
『お前ってよく気が利くよな』
試合が終了し、部員が飲み干したスポーツドリンクを片付けていた時、後ろから声をかけてきた彼。
出会った当初から、どうも好かない男だった。
どうも、私の中身を見透かされているような気がして……。
その男は、数か月後にサッカーチームを辞めてしまって、それ以来全く連絡は取っていなかったが、まさかこのような形で名を聞くとは。
「昨日、浜田で冷凍食品会社の社長の御曹司に会ったよ」
その言葉に全員が耳を傾ける。
「校内で砂原ってヤツと顔を合わせても、シカトしろよ。近づくんじゃない。不良だからな」
その言葉に腹を立てた立花さんはムッとしたように眉間にシワを寄せる。
「そんなこと貴方に言われたくない。私のプライベートに口出さないで」
若武が膝の上に置いていた枕を放り出し、羽根布団をはねのけてベッドから飛び降りた。
パジャマの上をスッポリと脱いで、叩きつけるようにベッドヘッドにかけると、斜めに立花さんを見る。
「もう砂原と、話したのか。そうなんだろ!」
「だって、隣の席なんだもの」
「お前に言って分からなきゃ、向こうに言うまでだ!」
上半身、裸のまま部屋を飛び出そうとする若武のズボンを片手で引っ掴む。
「離せっ!これは命令だぞ!」
『その顔と格好で行っても笑われるだけよ』
若武は鬱陶しそうに腕を振り払う。
「立花、お前は知らないだろうけど、砂原は突然キレるで有名なんだぜ。それで去年、中学生を3人、病院送りにして警察沙汰になったんだ。家裁に送られて保護観察になったんだけど、KZも秀明もやめることになたってわけ」
ああ。あの一件はもう去年のことになるのか。
ということは、彼とは1年以上会っていないということになる。
元気にやっていたら良いけど。
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??? - 今頃、KZ✕コナン と言う事に気づいた。(バーボンの所で気づいた)) (2022年12月18日 22時) (レス) @page25 id: a3d070ab9a (このIDを非表示/違反報告)
ピンカン(プロフ) - 応援してます!!! (2022年3月24日 12時) (レス) id: 4d85ff89bb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - KZ×コナン!めっちゃ面白いです!応援してます! (2022年3月10日 13時) (レス) id: 8e64252870 (このIDを非表示/違反報告)
絵 - 最高です!これからも応援しています (2021年11月10日 21時) (レス) @page21 id: a4d316c6c5 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 面白かったです!頑張って下さい! (2021年3月11日 19時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こはる x他1人 | 作成日時:2021年3月11日 17時