彼岸花が咲く頃にー弐ー【鬼滅の刃】

45輪ー尊敬ー ページ6

「水の呼吸…肆(し)ノ型・打ち潮！！」


真横から周りの人間とは比べ物にならない程の気配を感じた____。鍛えあげられた肉の匂い、威圧。強敵だった鬼を倒して、静かになった空気が、どことなくピリピリし、ちょっと力を入れて蹴とばしさえすれば大抵のものはあっけなく崩れ去りそうに思えた。


この気配、前にも感じた事がある____。


私は、攻撃を交わして、距離をとった。視界に入ったのは、右半分が色で左半分が亀甲(きっこう)柄の羽織りをきた男の鬼殺隊員。髪は黒く、後ろで束ねていて、目は電気石のように青い。


「水の呼吸…陸(ろく)ノ型…」


「血気術＿極光・柘榴石(ざくろいし)」


私は、技を阻止するため、血気術を使う。この男の攻撃を受ければ、必ず死ぬ____。多分、この男は柱の1人だ。この山に、十二鬼月がいると聞いてやってきたのだろう。


「早(は)よ、十二鬼月を倒しに行った方がええんちゃう？」


出来るだけ優しく言ったが、柱は聞く耳を持たない。


「お前に指図する権利はない」


そう言って、また攻撃を仕掛けてくる。


「………」


____ああ、嫌だ。大抵の鬼狩り達は、こうやって話を聞いてくれなかったから、仕方なく、戦うしかなかった。身を守るために、生きる為に____。


鬼になって、つくづく思う。鬼だって、元は人間だったのに、炭治郎のように慈悲の1つもかけず、理解も示さない奴らが上に立っているから、いつまでたっても鬼舞辻を仕留められないのではないかと____。鬼殺隊は、当初に比べて弱くなっていく一方だ。今や柱も、先先代に比べると、弱い。


「無視すんじゃねぇ！」


先程から伊之助が騒いでいるが、この状況をじゃれ合いだとでも思っているのだろうか？ひたすら柱に話かける伊之助。柱は堪らず「修業し直せ。戯(たわ)け者！！」と返したが、伊之助は憤慨し「なにィィィ！！」と反発。


すると、柱は一端、距離を置き、伊之助に問うた。


「お前は何故、鬼と共に行動をしている____？」と。


■□大正コソコソ噂話□■

電気石とは、パライバトルマリンという宝石で、青色をしています。

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