76輪ー幕開けー ページ37
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「早よ訓練に戻らな、炭治郎と差が空いてまうで」
バシッと背中を叩いて気合いを入れ直させる。
「伊之助!善逸!」
炭治郎がこちらに気づき笑顔で手を振ると、二人は気まずくなってそそくさと逃げていった。
まったく……。
「ごめんな、炭治郎。連れてきたんやけど……まぁ、明日は来ると思うよ」
「もしかして説得してくれたのか?」
「いいや。無理矢理引きずって来させたんや。そうでもせんと来ん」
「(………流石だ)」
私は二人から聞いていたカナヲらしき女の子に話しかける。
「貴方がカナヲ……?」
カナヲは表情一つ変えない。
まるで、この前の女のようだ。
「炭治郎達をよろしゅう」
それだけ言って立ち去ろうとすると、カナヲは一枚の銅貨を投げる。
「力を増してる____。貴方、人を喰ったの?」
その言葉に周りの空気がシン……となった。
「_____いいや。冷やかしも体外にしときや」
カナヲが言ったことは間違ってはいない。
確かに、此処へ来る前より力は増したが、人間を喰ったからではなく、人間の栄養価に値するまで鬼を喰い続けたから____。
毎日、夜になると柱達が鬼狩りに出動するから、その隙を狙って山に行き、血気術で鬼を半殺しにして喰う。そうでもしていかないと身体がもたない。
仕方のないことだった。
本当は_______喰いたくない。
気持ち悪い。
その気持ちを押し殺して、毎夜喰う私の気持ちなんて誰にも分からないだろう。
■□■□■□■□■
□■□■□■□■□
次の日_______。
嬉しいことが二つあった。
一つ目は善逸と伊之助が訓練に戻ったこと。
二つ目は新しい日輪刀が手に入ったこと。
炭治郎が気を利かせて刀鍛冶に頼んでくれた。
「A殿の刀を打たせて頂きました。戦いのお役に立てれば幸いです」
手で握ると日輪刀は紫色に変わる。
「美しい……深い紫色だ。鬼でも素質さえあれば変わるものなのですね」
新しい日輪刀を鞘に納めると、炭治郎と刀鍛冶に礼を言ってその場を後にした。
ああ……早く夜になってくれないかな。
刃こぼれした日輪刀は相当、力を入れないと頸を斬り落とすことが出来なかったから_______今夜はスパッと斬れるぞ。
■□■□■□■□■
一方で悪いこともあった。
暗い民家街に突然、障子が現れ、一匹の鬼が狂ったように笑う。
「うふ……うふふ。柱と
そして、また新たな旅が始まる。
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こはる(プロフ) - 麗さん» すみません!誤字っていました。ご指摘ありがとうございます! (2020年10月24日 22時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 忍は平仮名でしのぶではないでしょうか? (2020年10月24日 20時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - shiroさん» ありがとうございます! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - アルデさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。そんなに読んでくださってるなんて嬉しいです!!励みになります! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - コロナで大変ですが、勉強頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2020年8月8日 15時) (レス) id: ec5b8a1d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こはる | 作成日時:2020年3月12日 23時