68輪ー火の呼吸ー ページ29
「貴様らは邪魔だ」
鬼は糸くずでも払うかのように仲間達の身体を吹き飛ばして、引き裂いた。
あまりの一瞬の出来事に、身体が固まる。
『Aお前は女やのに、えらい強いなぁ!』
『お前は将来、有望や!!これで柱にまで登りつめたら、花札の名が轟くで!!』
さっきまで、他愛もない会話をしていた仲間達が一瞬で死んだ____。
(なんや……この鬼…。逃げんと……逃げんとっ!)
「そうやって恐怖で支配される人間が好きだ」
耳元で鬼の声がした。
「全集中!!火の呼吸、玖ノ型!!
ゴォッ!と青い火が燃え盛る。
「大丈夫か!?」
「う、うん……」
「しっかりせえ!仲間の敵撃つで!!」
その時の桔平は太陽のようだった。
私が不安になった時、いつも明るく照らしてくれる____。
温かい青い火で包み込んでくれる____。
ああ。桔平が大好きだ。
桔平に背中を押された私は、日輪刀を構え直した。
「全集中____。花札の呼吸、伍ノ型っ!」
「動きが遅い。欠伸が出る」
溝内に一発くらった。体の中で鈍い音がして、口から大量の血を吐く。
「お前の相手は俺やっ!」
桔平は火力を上げて鬼に対抗する。
「だいたい…お前は何者や!そんじゃそこらの鬼とちゃうな。十二鬼月か____」
その言葉に、鬼が吹き出す。
「私が鬼舞辻だと言ったらどうする?鬼灯桔平よ」
一瞬、時が止まった。
鬼舞辻は鬼の中で最も強い鬼____。戦って数秒だが、強さからして本物だろう。
「お前が______鬼舞辻………」
「そうだ。どうだ桔平、私と一つにならないか?」
「断る」
桔平はさらに火力をあげた。
「鬼と人間の間に生まれた呪いの子。鬼殺隊の間でも恐れられている」
私たちの強さが広まり一目置かれると共に恐れられた。
呪いの子____そいつと一緒にいる気が狂った奴ら。
周りはいつも白い目で見て、いつぞやか「炎の呼吸」のことを「火の呼吸」と呼んではならないという暗黙の領域ができていた。
それでも桔平と一緒にいたのは、良い人と分かっていたから。
仲間がいたから____。
けど、その大半は一撃でやられてしまった。
「鬼舞辻____。俺は____お前を斬る!!!」
桔平の怒りは頂点に至った。
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こはる(プロフ) - 麗さん» すみません!誤字っていました。ご指摘ありがとうございます! (2020年10月24日 22時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 忍は平仮名でしのぶではないでしょうか? (2020年10月24日 20時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - shiroさん» ありがとうございます! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - アルデさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。そんなに読んでくださってるなんて嬉しいです!!励みになります! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - コロナで大変ですが、勉強頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2020年8月8日 15時) (レス) id: ec5b8a1d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こはる | 作成日時:2020年3月12日 23時