彼岸花が咲く頃にー弐ー【鬼滅の刃】

66輪ー最終選別ー ページ27

「行こう。A」
「う、うんっ！！」

息を呑み、覚悟を決めて門を通過した。
しばらくして、藤の花から離れた桔平が叫んだ。

「だぁっ！はぁっ！死ぬか思ったわ！」
「よう頑張ったね」
「はぁ……っ！さ、こっからやで！」

桔平は勢いよく刀を抜く。


「開眼っ！！」


桔平が目を血走らせる。
これは鬼の能力だ。
使うことによって、数十先にいる敵の位置を把握することができる。

「南西の方角に、えらい鬼がおるわ。避けた方がええな」
「そんなに、やばい鬼もおんの……？」
「うじゃうじゃおる訳やないで。何か妙に強いんや……。ここにおる鬼は人間を二、三人喰った鬼だけやって話やけど………嫌な予感はするな。そこにだけは近づかんように他の奴らにも知らせとこか」


桔平の予感は当たっていた。
その鬼は、のちに炭治郎が倒す手鬼だったのだ。
そして今年は____真菰(まこも)という一人の可愛らしい少女が殺された年だった。

「おっ！こっちに気づいた鬼がおる……。うお、三体同時やっ！東の方向っ！いけるか！？A！！」
「覚悟は……覚悟はっ…ついてんで！！」


正面の茂みから、カサカサッと物音がする。

「ケケケッ！美味そうだな………」
「女の方は俺が喰うぞ」
「俺は腸(はらわた)が好物なんだ！！」

鬼の姿は、いつみても不気味だった。
これが________もともと人間だったなんて、想像もつかない。


「全集中………」


桔平が口から白い息を吐いて、攻撃の態勢に入る。

「火の呼吸、壱ノ型____。業火周到っ！！」

青い火を刀に纏わせ、頸を斬る。


「全集中………」


桔平に続き、私も目一杯息を吸い込んだ。

「花札の呼吸、陸ノ型____。牡丹(ぼたん)・猪鹿蝶っ！！」

色鮮やかな花札と共に頸を斬る。
こんな調子で、私たちは二日、三日と生き残った。


そして七日目____。

「おかえりなさいませ」
「おめでとうございます。ご無事で何よりです」

最初は二十人ほどいたはずなのに____。

「これで全員か………？半分以上おらんくないか…？」

私達を含めて、たった四人しかい残らなかったのだ。その中には深い傷を負っている者もいた。そして______選別開始前に話した狐の面をつけた女の子の姿も見えなかった。

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