59輪ー転機ー ページ20
「賛成はできんな____」
厳しい言葉に、着物の
「第一、俺達は代々この宿屋を継いできた。一族の中でこれまで鬼殺隊員だった者は一人もいない____。何が言いたいかわかるか？」
「………私が鬼殺隊になったら、それが崩れるからやろ？」
「違う____」
「鬼殺隊は、ただ剣で戦ってるわけやない。普通とは違う呼吸法を使って戦うんや。それに剣は、そこらで売っとる剣やなく、日輪刀ていう____別名『色変わりの刀』と呼ばれる刀でな。持ち主によって刃の色が変わって、色毎に特性が異なるんや。
つまり、一族で一人も鬼殺隊がおらんってことは____呼吸が使えるかどうかも分からへんてことや」
現実を突きつけられた。確かに父の言う通りだ。
「お父ちゃんの言う通りやで。悪いことは言わへん………それに宿屋の仕事の方が安全や。鬼に襲われる心配もないんやから」
「………」
結局、この時の私は諦めた。
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しかし、転機が訪れる____。
「おかえりなさいませ」
今日も普段と変わらない宿屋の仕事をこなす。
「お荷物をお持ちします」
両手を差し出し、客が横に抱えていた刀を受け取った。その瞬間だった。
カタカタ……カタ、カタ…。
刀が奇妙に動き出したのだ。まるで鞘から出たがっているように____。
「ほおっ！？」
面を被った客は興奮した声を上げた。
「求めとる……！刀を抜いてみろ！」
「え？…え？」
「早う抜かんか！！」
言われるがまま抜いてみると、最初は普通の色だった刀が紫色に変色した。
何が起こったか全く分からなかった_______。
「紫っ！？」
客は驚きの声を上げる。
「紫っ！紫なんて見たことねぇ！いったい何の呼吸の使い手だ！？」
「どうなされました？お客様！」
客の大声を聞いた母が奥から飛び出てきた。刀を手にしている私が目に入った瞬間、青ざめていた。
「えらいこっちゃ……」
そのままバタリと倒れて気を失ってしまった。
「女将さん！？」
「ちょっと誰かぁ！女将さんが！」
宿屋は騒然。私は、ただ、ぼうっとしていることしか出来なかった。
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「忘れて物はないな」
「ないよ。お母ちゃん」
昨晩の騒動から一夜明けた朝。私は紅色の風呂敷を背負い、左腰には刀をつけていた。隣には桔平がいる。
「まさか。お前と一緒に鬼殺隊を目指すことになるとはな…」
「へへ…」
桔平は、また大きな手で頭を撫でた。
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こはる(プロフ) - 麗さん» すみません！誤字っていました。ご指摘ありがとうございます！ (2020年10月24日 22時) (
レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 忍は平仮名でしのぶではないでしょうか？ (2020年10月24日 20時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - shiroさん» ありがとうございます！ (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - アルデさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。そんなに読んでくださってるなんて嬉しいです！！励みになります！ (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - コロナで大変ですが、勉強頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2020年8月8日 15時) (レス) id: ec5b8a1d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こはる | 作成日時：2020年3月12日 23時
