58輪ー説得ー ページ19
その日から私と桔平の関係は少し変わった。
「実は俺、鬼殺隊になりたいんや」
「鬼殺隊？伯父さんの仕事継がんの？それに…言いにくいけど、もし正体がバレたりしたら…」
「仕事はまだ大丈夫や。親父が本当にあかんくなったときに継ぐっていう約束になったからな。ま、バレたときはバレたときや」
「バレたときはバレたときって………」
心配する私の頭を、桔平は大きな手で撫でた。
「しゃーないやろ………憧れてもたんやから」
何故、憧れたのか____理由を聞いてみると、鬼殺隊の柱の1人に狩りがあるようで、その人の元で修行するんだとか。
「だから、近々、此処を離れることになる。元気でやってけよ」
そう言って離れていく桔平に寂しさを感じた。このまま離れてしまったら、二度と会えなくなってしまうような気がしたのだ。
その日の夜____。
「あんた何言ってんの！？」
「だから！鬼殺隊になる言うてんの！」
紅色の風呂敷に手巾や食べ物を詰め込みながら母親を説得する。
「鬼殺隊がどんなんか知ってんの！？人を喰う鬼と戦うんやで？貴方にそないなこと…」
「桔平がいう柱に修行つけてもらうから大丈夫や」
「桔平君は！の話やろ。宿屋の娘が剣を振るうなんて……」
頭を抱える母。その後ろから父が姿を現した。
「騒がしいなぁ。表まで聞こえてんで」
「
そのことを聞いて父は眉を潜めた。
「鬼殺隊？」
「そやで！あの鬼を殺してくださる方々や！」
すがりつく母を横に、父は腕を組んだ。
「うーむ……」
「この子には宿屋を継がせるって、貴方も言ってたやないの！」
黙りこくる父。
「お父ちゃん。私、鬼殺隊になりたい！」
地団駄を踏みながら言うと、父は静かに床に座った。
「座りなさい」
いつもと雰囲気の違う父で、かしこまった感じ。私は言われるがまま床に座る。その後に続いて母が父の後ろに座った。
「何で鬼殺隊に入りたいんや？」
「桔平の側に居りたいから」
即答した後、私は俯いて、膝の上に乗っている手の甲を見つめる。
「桔平は……何か目を離したらあかん気がする。今、別れてしもたら、一生会えへん気がするねん」
「鬼殺隊になるんは大変なんやで？最低でも二年はかかるて、この前来てくれはった方が言っとった。Aはそれに耐えれるんか？」
「耐えれる！私も桔平に負けへんくらい強なって、二人で鬼殺隊になるんや」
そういったあと、しばらく父は黙って、母は私を見つめるだけだった。
鉛のように重い空気の中、父が口を開いた。
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こはる(プロフ) - 麗さん» すみません！誤字っていました。ご指摘ありがとうございます！ (2020年10月24日 22時) (
レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 忍は平仮名でしのぶではないでしょうか？ (2020年10月24日 20時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - shiroさん» ありがとうございます！ (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - アルデさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。そんなに読んでくださってるなんて嬉しいです！！励みになります！ (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - コロナで大変ですが、勉強頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2020年8月8日 15時) (レス) id: ec5b8a1d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こはる | 作成日時：2020年3月12日 23時
