55輪ー桔平ー ページ16
日射しはますますあったかい。
気温が上がると、空気にいろんなにおいが混じりはじめる。
小川を流れる澄んだ水の甘さ。
いままさに土を押しのけようとする草の青さ。
どこかで枯れ枝を焼く焦げくささ。
なにもかもがいっせいに動きはじめ、新しい季節を迎えようとしていた時、桔平という男が生まれた。その知らせを聞いた母は、祝福をしに、まだ生まれて半月しか経っていない私を抱いて、桔平の家へ。
私の家が切り盛りしている宿屋から歩いて数分の家に、桔平の家があったので、遊ぶ相手はいつも桔平だったことを覚えている。いつも明るく、悲しんでいる姿を目にしたことはなかったが、10歳になった時、転機が訪れた。
「A!爺ちゃんに山から薪とってこいって言われとんや。お前も行くか?」
「行く行く!!」
桔平の家は、料理屋だったため、調理する時に薪は必須だった。
「俺は木を斬り倒すから、お前は枝とか拾ってくれや」
「分かった」
いつものように薪を集めていた私達。そこへ、数人の男達がやってきたのだ。
見かけない男達だったので、ジッと見ていると、いきなり後ろから腹あたりを掴まれ、肩に担がれる。人
手に持っていた薪を落とした音で、異変に気づく。
「A!!」
急いで追いかける桔平だが、追いつけない。やがて、桔平も腕を掴まれ、連れ去られようとしていた。
「痛ぇっ!」
しかし、桔平は鋭い歯で、掴んだ男の手を喰いちぎり、再び追いかける。
「くそ…痛ぇっ!!何やアイツ!!」
「大丈夫か!?」
他の男達は、喰いちぎられた手を見て、ゾッとした。
「やべぇ…俺ら……ヤバイ奴らに手ェ伸ばしてんじゃねぇか…?」
「は?いや…たがが子供やで?昼間やし。そんなアホなこと……」
「皮膚が喰いちぎられとるやん!!人間の皮膚を喰いちぎれる者なんか、この世で1種しか居れへんやろ!?それに……アイツらの正体は、未だ謎やねんで!?」
男達は、血の気の引いた顔で桔平を見た。
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こはる(プロフ) - 麗さん» すみません!誤字っていました。ご指摘ありがとうございます! (2020年10月24日 22時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 忍は平仮名でしのぶではないでしょうか? (2020年10月24日 20時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - shiroさん» ありがとうございます! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - アルデさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。そんなに読んでくださってるなんて嬉しいです!!励みになります! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - コロナで大変ですが、勉強頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2020年8月8日 15時) (レス) id: ec5b8a1d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こはる | 作成日時:2020年3月12日 23時