53輪ー湿りー ページ14
「グ…ウゥゥ!!」
「竈門君、肺を圧迫されている状態で呼吸を使うと血管が破裂しますよ」
「ガ、ァア!!」
俺は禰豆子を助けようと、必死だった。禰豆子の為なら、どうなったっていい。俺の妹なんだ!!どんな理由があろうとも!!
「……ァア!!」
「その辺にしとき炭治郎」
怒り狂う俺の耳に、聞き覚えのある声がした。癖のある話し方に上品な声____。見上げると、そこにはAがいた。しかも、日の下で___。
「こいつ……っ!」
俺を押さえつけていた柱の男が、Aに斬りかかった。Aは余裕のある動きで、刀を交わし、屋敷へ足を踏み入れる。
「ご挨拶が遅れたこと、誠にお詫び申し上げます____」
綺麗に正座をし、両手をついて、お館様に頭を下げるA。
「いいんだよ。君のことは知ってるから。やっと会えたね________」
意味深な会話をする二人。その間に、白髪の男が口を挟んだ。
「お館様…っ!どういう事ですか!?鬼は………日の下では生きられないのではないのですか!?」
「そのことについても、柱合会議で話す予定だよ」
男は、歯を食いしばらせる。
「禰豆子ちゃん」
Aが両手を広げると、禰豆子は駆け寄って、Aに抱きついた。Aは優しく、禰豆子の頭を撫でる。
「どうしたのかな?」
「鬼の女の子は、不死川さんに目もくれず、もう1人の鬼の女性に抱きつきました。目の前に血塗れの腕を突き出されても、我慢して噛まなかったです」
「では、これで禰豆子が人を襲わないことの証明が出来たね」
お館様の言葉に、また何も返せない柱たち。
「ほな、私はこれで...」
一方、Aはスッと立ち上がり、この場から離れようとしていた。Aから漂う、悲しみと怒りが混じった匂い…。それと、何か複雑な感じも伝わってくる。何なんだろう…。そういえば、Aも無惨を追っていると言っていたが、具体的な理由は聞いたことがなかったな。
「いいけど、直ぐに柱合会議が始まるから、それまでには…戻ってきておくれ」
お館様の言葉に、Aは顔を曇らせる。
「はい」
周りの空気が湿るほどの重い返事。Aは何か重いものを背中に背負っている感じだ。出会った時から、ずっと。気になるけど、安易に聞いてはいけない気がする。それが、Aを苦しめることになりそうだから。
この後、俺は蝶屋敷へ連れていかれた。
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こはる(プロフ) - 麗さん» すみません!誤字っていました。ご指摘ありがとうございます! (2020年10月24日 22時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 忍は平仮名でしのぶではないでしょうか? (2020年10月24日 20時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - shiroさん» ありがとうございます! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - アルデさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。そんなに読んでくださってるなんて嬉しいです!!励みになります! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - コロナで大変ですが、勉強頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2020年8月8日 15時) (レス) id: ec5b8a1d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こはる | 作成日時:2020年3月12日 23時