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52輪ー風柱ー ページ13

「嗚呼…たとえお館様の願いであっても、私は承知しかねる」


「俺も派手に反対する。鬼を連れた隊員など認められない」


そんな声の中、お館様は一通の手紙を読み上げた。読み上げられた手紙は、元柱・鱗滝さんからのもの____禰豆子は強靭(きょうじん)な精神力で人としての理性を保っていること、飢餓状態のまま二年以上の歳月が経過したこと、もし禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎及び、鱗滝左近次、冨岡義勇が腹を切ってお詫びする________という内容のものだった。


涙が出た。禰豆子の為に、命をかけてくれるとは____。鱗滝さん…富岡さん……。


「……切腹するから何だと言うのか。死にたい奴は勝手に死に腐れ。何の保証にもなりはしません」


「不死川の言う通りです!人を喰い殺せば取り返しがつかない!!殺された人は戻らない…!!」


食い下がる柱達。彼らに対し、お館様はピシャリと言った。


「確かにそうだね。人を襲わないという保証ができない。証明ができない。____人を襲うということもまた、証明ができない」


その言葉に、誰も何も言い返せなかった。


「鬼舞辻は炭治郎に向けて追っ手を放っているんだよ。その理由は単なる口封じかもしれないが、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾を掴んで離したくない。恐らく禰豆子にも鬼舞辻にとって予想外の何かが起きているのだと思うんだ。わかってくれるかな?」


しかし、白い髪の男は、まだ食い下がる。


「人間ならば生かしておいてもいいが鬼は駄目です。承知できない…!!お館様、俺が証明しますよ。鬼というものの醜さを!!」


男は、躊躇(ちゅうちょ)なく刀を自身の右腕に当てると、ザシュッ!と音を立てて斬った。ダラダラと血が垂れる____。その血を中に鬼がいる木箱へボタボタと垂らした。


「お館様………失礼、(つかまつ)る!!」


男は箱を抱え、屋敷の中へ入って行った。


(あいつ…禰豆子に何をする気だ!!)


「禰豆子!!!」


名前を叫んだが、柱の1人が俺の背中を強く押さえつけた。男はさらに木箱を刺し、乱暴に蓋を開けた。血で汚れた禰豆子が、中からズズっと出てくる。息は、とても荒い____。

53輪ー湿りー→←51輪ーお館様ー



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作品ジャンル:アニメ
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こはる(プロフ) - 麗さん» すみません!誤字っていました。ご指摘ありがとうございます! (2020年10月24日 22時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 忍は平仮名でしのぶではないでしょうか? (2020年10月24日 20時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - shiroさん» ありがとうございます! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - アルデさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。そんなに読んでくださってるなんて嬉しいです!!励みになります! (2020年9月26日 15時) (レス) id: bf0c61a923 (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - コロナで大変ですが、勉強頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2020年8月8日 15時) (レス) id: ec5b8a1d5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こはる | 作成日時:2020年3月12日 23時

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