28輪ー胡蝶蘭ー ページ29
「Aさん…。受け取ってください」
頰を赤らめている善逸が手にしていた花は、桃色の
「殺してくれ」だの「死ぬ」だの言い出せば、また面倒くさいことになるので、上手く切り抜けなければ…。
「まぁ。綺麗な
いかにも嬉しそうな口調で、目を細め、口角を上げる。善逸は身を低くし、一歩下がって、蚊の鳴くような声で「そこの裏山からです……」と返事をした。私は善逸に近づき、彼の手を握る。
「善逸。私のために摘んできてくれることは、ごっつぅ嬉しいんやけど、お花さんが可哀想やと思わんか?」
「………?」
善逸はキョトンとした様子で首を傾げた。私は、彼が手にしていた胡蝶蘭を見つめる。
「こんなに綺麗に咲いてくれたんや。沢山の人に見てもらうために_。せやのに、善逸が摘んでしもたら、花は私しか見る人がいなくなる。綺麗やのに、勿体無いと思わんか?」
「………」
善逸も花を見つめ、側にいた炭治郎も花を見つめたので、辺りに沈黙が広がった。
「_____これからは、お手紙と俳句だけにします」
そう言って、胡蝶蘭を渡した善逸。きっと、これが最後の花だろう。私は右手を善逸の頭の上に乗せる。
「流石、善逸。優しい子やな」
山吹色をした頭を撫でると、彼の顔から火が出ていた。
「結婚してくださいっ!!」
「それは無理やな」
■□■□■□■□■
■□■□■□■□■
「Aは善逸の扱いが上手いな!善逸を傷つけずに、贈り物を断るなんて」
善逸がその場を去ってから、炭治郎が声を発した。私はニコリと笑って、片手を頬に当てる。
「そうか?でも、思っとったことは
「そうだな。そうやって、相手の優しさに気付ける所も、Aの良いところだ」
「…………」
そうやって、直ぐに人の長所を見つけられる炭治郎も、すごいと思うよ____。そう言おうとしたが、頭上からカァーッ!!と大きな鴉の声が聞こえた。炭治郎の
「緊急ッ!緊急ッ!至急、四人デ
那田蜘蛛山_____。その山名を聞いて、目を細める。
その顔を、炭治郎は見逃さなかった。
(A…?)
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こはる(プロフ) - はすたー教信者さん» いいえ。ご指摘ありがとうございます。私、よく誤字をしてしまうので指摘してくださって嬉しいです!次は間違えないように気をつけます!! (2020年1月4日 0時) (レス) id: 1ef8811650 (このIDを非表示/違反報告)
はすたー教信者(プロフ) - 雨四公ではなく雨四光では無いでしょうか そういう仕様でしたらごめんなさい (2020年1月2日 9時) (レス) id: 39e42d80c8 (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - るぅさん» ありがとうございます!ひぇえ…。両方も………。友達ありがとう。私もその友達に感謝しかないです…。更新頑張ります! (2019年11月27日 15時) (レス) id: cdf5a56a51 (このIDを非表示/違反報告)
るぅ(プロフ) - こはるさん» こはるさんの作品は、ヒロアカと探偵チームkZ事件ノートの作品を読ませていただいてます。両方とも友達が「この人の作品面白いよ」と教えてくれたのがきっかけでした。友達には感謝しか無いです!これからもめっちゃ楽しみにしてるんで、頑張ってください! (2019年11月26日 20時) (レス) id: 40246c291e (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - るぅさん» 私の文を好んでくださって、ありがとうございます〜っ!楽しみだなんて言われて、すごく嬉しいです!!るぅさんは、褒め上手ですね笑。とても、やる気が沸いてきます。不定期ですが、更新頑張ります!! (2019年11月25日 22時) (レス) id: cdf5a56a51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こはる | 作成日時:2019年11月24日 0時