彼岸花が咲く頃にー壱ー【鬼滅の刃】

12輪ー油断ー ページ13

「ねじれ渦・流流」


炭治郎が、直ぐそこまで迫って来ていたので、鬼は急いで矢印を出すが、全て渦に巻き込まれてしまう。そして、遂に_____。


「弍(に)ノ型・改。横水車(よこみずぐるま)！！」


炭治郎が鬼の頸(くび)を斬(き)った。ポーンと頸が宙に飛び、地面に落ちる。炭治郎が水の呼吸の使い手でなければ、勝てていなかっただろう。水中でなければ威力の落ちるねじれ渦だが、向こうの攻撃のおかげで力が増し、矢印を巻き取れた。とても運が良い。


「お疲れ様」


炭治郎の側へ寄り、ヘトヘトになった彼の体を支えた。


「お、俺、大丈夫です…！」


「嘘つきなはれ。かなり体をぶつけとったし、必ず何処(どっ)かは骨折してるはずやで」


「いえ…。でも！」


先輩に気を使っているのか、遠慮する炭治郎。そして、その炭治郎の腕を肩に担ぐ私。それを見る二つの憎悪で満ちた目。


「おのれ…。おのれ、おのれ！！」


頸(くび)を切られ、チリとなりながらも口を開く鬼。


「お前たちの頸さえ持ち帰れば、あの御方に認めて頂けたのに！！許さぬ…。許さぬ！せめて、お前だけでも道づれじゃ！！！」


すると、ズッと炭治郎の体から複数の矢印が生えてきた。相打ちだったのだ。炭治郎はグッと横へ引っ張られ、私の手から離れる。


「炭治郎！！」


物凄い勢いで壁の方へ引っ張られる炭治郎。


甘かった。自分が頸を斬っていれば良かった。そう後悔しても遅い。いつもこうだ。重要な所で手を抜いて、その隙を突かれ、取り返しのつかない事となる。2年前だってそうだった。だから、鬼になってからは慎重にしてきたつもりだったのに…。


(何で…。こんな時に気ィ抜くんや！！)


肝を座らせていた自分に腹が立つ。


「肆(し)ノ型。打ち潮！！！」


ザバァッと刀から水が流れ、技で衝撃を防ぐ。


「水車！！滝壺(たきつぼ)！！雫波紋突(しずくはもんづ)き！！水面斬(みなもぎ)り！！」


技を連発する炭治郎。これは上級の鬼殺隊でもキツイ。炭治郎を早く解放してあげなければ………。そう思った私は、鬼の顔と体を八つ裂きにした。鬼が死ねば攻撃も止む。今はこれしか出来ない。


鬼が完全に消えた瞬間、矢印は消え、炭治郎は疲労で息を切らし、激しく肩を上下させる。刀もまともに握れない_____。

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